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非上場株式の相続‐評価方式やリスクなど解説‐

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非上場株式の相続‐評価方式やリスクなど解説‐

【読んでいただきたい方】
  • ・相続によって非上場株式を相続した方
  • ・相続により事業承継をお考えの方

親族経営の会社オーナーが亡くなって、その株式(非上場株式)を相続した際に、「そもそも非上場株式とは何か」「非上場株式を相続することによるリスクは何か」わからず、不安に感じている方も少なくないでしょう。

非上場株式は、上場していないだけに簡単に売却することができないため、現金化が困難、評価方法が複雑である他、遺言で譲り受けた場合、遺留分侵害額請求をされるおそれがあります。

このページでは、非上場株式とは何か、相続した際のリスクについて解説します。

【目次】

1.非上場株式を相続するとかかる相続税について解説
① 上場株式と非上場株式の評価方法の違い
② 評価方法の使い分け
③ 非上場株式は思わぬ高額となる可能性が高い
2.非上場株式を相続するときのリスク
① 評価計算が複雑かつ高額となるリスク
② 売却できない可能性がある
③ 遺留分を請求されるリスクがある
3.非上場株式に関する相続についてお困りの方は当事務所へご相談ください

1.非上場株式を相続するとかかる相続税について解説

相続があると、被相続人が死亡の時点で有していた一切の権利・義務が原則として被相続人に承継されます。その際に、承継される遺産の額によって相続税が課せられ、財産額が多いほど税率も高くなります(最高税率55%)。

非上場株式も当然、この遺産に含まれますが、預金等と違い、それ自体に客観的な価格がついているわけではありません。そのため、その評価方法が重要となります。

そして、一般に、非上場株式は現金化しにくいうえ、持ち株割合によっては経営に全く参加できないため、その価値を感じにくいものです。

しかしながら、後述するとおり、その評価方法は、上場株式の評価方法と異なり、国税庁の定めた基準にのっとって算定され、思いのほか高額となり、したがって、相続税を押し上げる傾向にあります。

そのため、非上場株式の相続が発生する可能性がある場合、その評価額を意識し、評価できるよう注意が必要となります。

以下、非上場株式を相続した場合の相続税上の評価方法についてご説明します。

① 上場株式と非上場株式の評価方法の違い

    上場株式の評価方法
  • 非上場株式の相続税上の評価方法を説明する前に、上場株式の評価方法をご説明します。

    上場株式とは東京証券取引所などに上場して、一般に取引がされている株式会社の株式をいいます。上場株式については、取引所が株式価格を公表しているため、これを基礎に評価額を算定します。

    もっとも、取引価格は変動し続けるため、どのタイミングの株式価格を利用するかが問題となります。

    この点、利用する株式価格については、以下のような種類があります。

    • 課税時期の最終価額
      又は
    • 以下の三つの方法で求めた価格の中で、一番低い価格
      ・課税時期の月の終値を平均した額
      ・課税時期の前月の終値を平均した額
      ・課税時期の前々月の終値を平均した額

    ※課税時期とは、亡くなった日(相続開始の日)のことをいいます。
    なお、上場株式の価格の計算は証券会社に依頼をすれば行ってくれるため、必ずしも自身でやる必要はありません。

  • 非上場株式の評価方法
  • 上場株式ではない株式を非上場株式といいます。上述の上場株式と異なり、市場価格が公表されていないため、国税庁により別途その評価方法が定められています。そして、その評価方法は

    ①原則的評価方式である類似業種比準価額方式や純資産価額方式

    ②特例的評価方式である配当還元方式

    の2種類があります。
    この使い分けは、後述するとおり、株式を保有する株主の状態や会社の規模によって決まります。

    【評価方法の種類】
    まずは、以下で、具体的な評価方法の種類について記載します。なお、以下で「評価会社」と記載されているのは、相続された株式の株式会社を意味します。

    類似業種比準価額方式(①原則的評価方式)

    類似業種比準価額方式とは、評価対象の会社と類似する内容の事業を行っている上場会社の株価を基礎に、配当金額・利益金額・純資産価額の3つを考慮して計算する方式をいいます。
    具体的な計算方法は複雑で、以下のようになります。

    1株当たりの類似業種比準価額=
    類似業種の株価
    ×{(自社の1株当たりの配当金÷類似業種1株当たりの配当金)
    +(自社の1株当たりの利益÷類似業種の1株当たりの利益)
    +(自社の1株当たりの純資産÷類似業種の1株当たりの純資産)}
    ÷3 ×調整率(大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5)
    ×(1株あたりの資本金等の額÷50円)

    例えば、自社が飲食業界に属する場合を想定し、以下の情報があるとします。

    • 自社の業種:飲食業界
    • 類似業種の株価:上場企業の平均値が1株あたり1000円とする
    • 自社の1株当たりの配当金:50円
    • 類似業種の1株当たりの配当金:上場企業の平均値が1株あたり100円とする
    • 自社の1株当たりの利益:200円
    • 類似業種の1株当たりの利益:上場企業の平均値が1株あたり300円とする
    • 自社の1株当たりの純資産:1000円
    • 類似業種の1株当たりの純資産:上場企業の平均値が1株あたり1500円とする
    • 調整率:中会社0.6
    • 1株あたりの資本金等の額:100円

    以上の情報を計算式に反映させると以下のとおり算出されます。

    1株当たりの類似業種比準価額は
    (1000円)
    × {(50円 ÷ 100円) + (200円 ÷ 300円) + (1000円 ÷ 1500円)}
    ÷ 3 × 0.6 × (100円 ÷ 50円)
    = 1000円 × (0.5 + 0.67 + 0.67) ÷ 3 × 0.6 × 2
    = 736円

    となります。

    純資産価額方式(①原則的評価方式)

    純資産価額方式とは、会社財産の評価額を基に、1株当たりの純資産価額を算定する方式をいいます。同族会社の場合、株式は会社純資産に対する持分という側面があります。
    具体的な計算方法は以下のようになります。

    1株当たりの純資産価額=
    (「相続税評価額による総資産の価額」
    -「相続税評価額による負債の価額」
    -「評価差額に対する法人税相当額」)
    ÷「発行済み株式数」

    例えば、ある会社の総資産の相続税評価額が1億円、負債の相続税評価額が5000万円、評価差額に対する法人税の税率が30%、発行済み株式数が1000株の場合

    1株当たりの純資産価額は
    (1億円 - 5000万円 - (1億円 - 5000万円(評価差額))×30%)÷1000株 = 35万円

    と算出されます。

    配当還元方式(②特例的評価方式)

    特例的評価方式においては、配当還元評価方式と原則的評価方式で算定された評価額のうち低い方を採用します。

    配当還元方式とは、直前の期末以前の2年間の年平均配当金額をもとに計算する方法をいいます。

    配当還元価額=
    (株式にかかる年間の配当金額(※)÷10%)
    ×(1株当たりの資本金等の額÷50円)

    (※)株式にかかる年間の配当金額=
    (直前期末以前2年間の配当金額÷2)
    ÷(直前期末の資本金額÷50円(1株当たりの資本金額を50円とした場合の発行済株式数))

    例えば、ある企業の株式にかかる年間の配当金額が100円で、1株当たりの資本金等の額が1,000円の場合

    配当還元価額は
    (100円 ÷ 10%) × (1,000円 ÷ 50円) = 20,000円

    と算出されます。

② 評価方法の使い分け

ここまでに非上場株式の評価方法について上記3種類あることを説明してきました。これらの評価方法は、自分で選んで用いることができるわけではなく、株主の区分によって決められることになっています。以下で、株主の区分とどの評価方法を用いるかについて説明します。

株主の区分と評価方法

    株主の区分(同族株主等かそれ以外か )
    • 同族株主等にあたる支配力の強い株主が保有する非上場株式
      → 原則的評価方式


    • 同族株主等にあたらない支配力の弱い株主が保有する非上場株式
      → 配当還元方式

    と、支配力の強弱により評価方法が異なります。

    同族株主とは、株式取得者本人と同族関係者の株式取得後の議決権割合が30%以上のグループの株主をいいます。

    50%を超えるグループがある場合、そのグループの株主のみが、同族株主となります。
    ここでいう同族関係者とは、親族のうち民法で規定されている六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族を指します。

    そして、上記の「同族株主等」の「」に含まれるのは、同族株主がいない会社における同族株主等の議決権割合の合計が15%以上のグループに属する株主を指します。

    このような会社の経営にかかわるような支配力の強い非上場株式については、原則的評価方式(純資産価額方式、類似業種比準価額方式)により評価されます。

    同族株主等は会社の意思決定に大きな影響力を持っているため、配当などの利益のためではなく、会社の支配権を持つために株式を保有しているのが一般的です。そのため、その株式の実態的価値に即した評価の方法として、原則的評価方式が用いられます。

    一方、支配権にかかわらないような株を保有している場合、その経済価値は、会社経営権によって享受できる利益ではなく、原則、配当による金銭的な価値になります。
    そのため、同族株主等にあたらない支配力の弱い非上場株式については、特例的評価方式の配当還元方式により評価されることになります。

    以上のことをまとめると、以下のようになります。

    ★同族株主等にあたるかどうか、同族株主等にあたるとして、どのグループが当たるのかどうか

    ・ケース①:30%を超える議決権を有する同族株主グループがある場合

    30%を超える議決権を有する同族株主グループがある場合

    ・ケース②:50%を超える議決権を有する同族株主グループがある場合

    50%を超える議決権を有する同族株主グループがある場合

    ケース③:同族株主グループがない場合で15%を超える議決権を有する同族株主グループがある場合

    同族株主グループがない場合で15%を超える議決権を有する同族株主グループがある場合

  • 特定評価会社の判定と株式の評価方法
  • 特定評価会社は、通常の経済活動を行っている会社とは異なり、実態に応じた評価を必要とする会社です。

    たとえば、資産の保有状態や、営業の状況が通常の会社と著しく異なる会社には、上記、図の流れのとおり、原則として純資産価額評価方式が採用されます。

    その理由としては、以下のようなものが挙げられます。

    ①事業実態の反映
    特定評価会社は通常の事業活動を反映していないため、類似業種比準方式の使用が不適切

    ②資産価値の重視
    株式等保有特定会社や土地保有特定会社は、保有資産の価値が会社の価値の大部分を占める

    ③継続企業の前提の欠如
    清算中の会社や開業前・休業中の会社は、継続企業を前提とした評価方式が不適当

  • 特定評価会社に該当する会社の種類
  • ①比準要素数1の会社

    比準要素数1の会社とは、

    直前期末の類似業種比準価額方式の3つの比準要素である

    • 1株当たりの配当金額
    • 1株当たりの利益金額
    • 1株当たりの純資産価額

    のそれぞれの金額のうち、いずれか2つが0であり、

    かつ、

    直前々期末を基準にして同様に3つの比準要素の金額を計算した場合に、それぞれの金額のうち、いずれか2つ以上が0の評価会社をいいます。

    ②株式等保有特定会社
    株式等保有特定会社とは、総資産価額に対する株式等の価額の割合は50パーセントを超える会社をいいます。

    ③土地保有特定会社
    土地保有特定会社とは、評価会社の課税時期における各資産を財産評価基本通達の定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める土地等の価額の合計額の割合が、70%以上の大会社、および土地保有割合が90%以上の中会社をいいます。

    ④開業後3年未満の会社等

    ⑤開業前又は休業中の会社
    会社設立の登記は完了しているものの、納税時期において事業活動を開始するに至っていない会社や、納税時期において相当長期間にわたり休業している会社をいいます。

    ⑥清算中の会社
    清算中の会社とは、解散決議後に経済的関係の整理を行う期間にある会社をいいます。清算中の会社は、会社の解散や清算が進行しており、通常の評価方法では正確な評価を行うことができないため、特定評価会社による評価が必要とされます。

  • 特定評価会社に該当する会社の株式評価方法
  • 特定評価会社の株式は、純資産価額評価方式によって評価されます。純資産価額評価方式は、株式の所有者が会社を解散させた場合に得られるであろう価値を基準とする方法で、以下の理由から公正な評価方法といえます。

    • 評価の根拠となる情報が明確である

      純資産価額評価方式では、企業の財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)などの情報を元に評価を行います。このため、評価の根拠となる情報が明確であり、それを確認することで評価の正確性を担保することができます。


    • 財務情報は、企業の実態に基づいている

      財務情報は、企業が実際に行っ ている事業活動や投資活動、資金調達活動などの結果を反映しており、その企業の実態を示すものとなっています。そのため、純資産価額評価方式による評価は、企業の実態に基づいているといえます。

      そして、上記で見てきた各種類の特定評価会社では、会社の将来の収益が重視されない又は予定されていなかったり、収益が不明確であったりします。

      そのため、純資産価額評価方式以外の、将来の会社の収益を重視した評価方法を用いた場合、特定評価会社の実態に合わない評価となります。

      そのため、以下、みるとおり、特定評価会社についての評価には、純資産価額評価方式が用いられます。

      ①比準要素数1の会社

      比準要素数1の会社は、市場価格も存在しないうえ、類似業種比準価額方式に利用する各種数字が存在せず、また財務諸表に記載された資産や負債の評価が困難な場合が多く、株式の評価が難しいとされています。
      そのため、財務諸表に記載された純資産価額を基に評価する純資産価額評価方式が適切であり、一般的に用いられる理由です。

      ②株式等保有特定会社、③土地保有特定会社

      ②、③の会社は、一般的なビジネスモデルの会社と異なり、会社の価値は、その保有する株式や土地等の価値そのもの依存します。もっとも、保有する資産(株式や不動産)の市場情報が限定的であるため、評価が複雑であり、公正な評価も困難です。そのため純資産価額評価方式が用いられます。

      ➃開業後3年未満の会社等、⑤開業前又は休業中の会社、⑥清算中の会社

      ④、⑤、⑥の会社は、業績や経営状況が安定しておらず、将来の見通しが不透明であるか、そもそも会社としての将来の見通しがない会社です。そのため、類似業種比準価額方式でその株式評価額を正確に算定することが困難であり、資産価額評価方式が用いられます。

③ 非上場株式の相続税は思わぬ高額となる可能性が高い

非上場株式の評価方法については、これまでにみてきた方法がとられることになります。

一般に、非上場株式は、資産に比して負債が少なくなり、評価額が高額となりやすい傾向があります。というのも、非上場会社では、外部からの借り入れを最小限にし、自己の資産での経営を行おうとすることが多いためです。

また上場企業に比べて発行する株式数が少ないことから、1株あたりの配当金額が高額となることも、評価額が高額となる一因です。

そして、相続税は、算出された非上場株式の評価額や、その他現金や不動産といった財産を合わせた「遺産総額」に、「法定相続分」を掛け合わせた個々人の「取得金額」に対して、割合として発生するものです。

そもそもの非上場株式の評価額が高いこと、そして取得金額に応じて定められている相続税の割合は、取得金額が多くなるほど大きな割合に設定されていること、この2つの理由から、非上場株式を相続する際の相続税は高額となる可能性が高いのです。

2.非上場株式を相続するときのリスク

上記みてきたように、非上場株式の評価方法は複雑です。そのため、その評価額が意識されることなく、経営が行われることが往々にしてあります。もっとも、以下見るように、非上場株式を相続することは様々なリスクがあります。

① 評価計算が複雑かつ高額となるリスク

上述のように、非上場株式の評価額は、当該会社の市場価格がないために、様々な方法で算定されます。

詳しくは前述しましたが、類似業種比準価額方式・純資産価額方式・配当還元方式といった算定方法があります。
各算定方法が複雑であるだけではなく、算定方法の判断に至る過程も複雑であるため、専門的な知識を有している必要があります。

一方で、実際に相続の場面になって初めて株価を計算すると、思いのほか、株価が高くなっており、これにより相続税負担が非常に大きくなっていることが往々にしてあります。

② 売却できない可能性がある

株式を相続して、会社を引き続き経営していく場合は、株式を所持していくことは重要ですが、経営側に回らない相続人にとっては、非上場株式の利用価値は低く、売却を試みたいと考えることも多いかと思います。
しかしながら、非上場株式を相続した場合に、当該株式を売却することは極めて困難です。

前述のとおり、非上場株式が含まれる相続においては、相続税負担が大きくなることも多く、遺産を現金化してその納税資金に充てる場合があります。
しかしながら、上場会社と異なり、非上場会社の株式は市場で取引されていないため、現金化が困難です。そのため、自分で非上場株式の買い手を探してくる必要があります。

また、購入に興味を持つ人が現れたとしても、そもそも非上場株式は市場価格がなく、買い手が限られているため、安く買われる可能性が高いです。

特に、先に説明した評価額は、あくまで相続税上の評価額であり、一般的な市場価格と比べて高く評価されることもあるため、そのような評価額で売れると期待していた売主からすると、買主から提案される金額は、どうしても割安感を感じる価格となってしまいます。

また、ようやく買い手候補を見つけて、高値売却が合意できたとしても、非上場株式のほとんどは譲渡制限株式です。

譲渡制限株式とは株式を譲渡する際に、株主総会や取締役会等の会社の承諾が必要な株式のことを意味し、好ましくない買主が株式を購入して、会社経営に参加することを防ぐ等の機能を有します。

もしも、株式の譲渡を行うと、契約当事者間では、場合により契約は有効ですが、会社の承諾を得られなければ、買い手は会社に自分が株主であることを主張できません。

そのため、会社にとって好ましくない人材の場合、買い手が現れたとしても会社はその人への譲渡を承諾してくれず、譲渡制限株式の買取請求の方法を除き、現金化することができません。

このように、非上場株式の売却には、さまざまな問題があり、売却が困難です。そして、売却することができないと、そこから納税の資金を捻出することができません。

また、非上場株式の相続税が発生しないように、前もって非上場株式を売却しようと思っていても、そもそも売却が困難なため、所有者が亡くなるたびに相続税の発生原因として存続し続ける危険性があります。

なお、会社法上、上記会社に対する譲渡の承諾の申請と併せて、承諾を拒む場合に会社もしくは会社の指定する者に当該譲渡制限株式を買い取ってもらうことを請求することができます。
ここでの売却価格は交渉を経て決定されますが、交渉で決まらない場合には、裁判所が売却価格を決定することになります。

③ 遺留分を請求されるリスクがある

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に対して定められている最低限度の遺産取得権です。

例えば、遺言により相続財産のすべてを特定の第三者に承継することになった場合、兄弟姉妹以外の相続人は自身の遺留分の侵害を主張して、その第三者から遺留分を取り戻すことができます。

遺留分は相続分に2分の1などの一定の割合を乗じた割合になります。詳しい割合は民法上に規定があります。

このことから、もしも、非上場株式を後継者(第三者)に相続させる旨の遺言が存在していても、兄弟姉妹以外の相続人から、遺留分の主張・請求を受けるおそれがあると言えます。

特に、非上場株式の評価額は、前述のとおり、実際に取引できる価格に比べて高額に設定されているうえ、売却が難しいことから、これに加えて遺留分の主張を受けると実質的な不利益は大きくなります。

なぜなら、遺留分侵害額請求によって行われる相続財産の清算は株の引き渡しではなく、お金によってなされるためです。換価しにくい非上場株式が手元に残り、お金がなくなることになります。

3.非上場株式に関する相続についてお困りの方は当事務所へご相談ください

非上場株式に関する相続においては、相続税の計算の前提となる評価額の算定の段階で複雑かつ専門的な知識が求められるだけではなく、相続後の保有にかかるリスク(売却が困難であること)や、遺留分のリスクがあります。各場面で適切な判断をするために、専門家に早めに相談をすることは有意義ともいえます。

また、相続放棄や限定承認といって民法上認められている制度を活用することも考えられるため、相続に関する幅広い選択肢を知っておくことをおすすめします。

非上場株式の相続に関してお悩みの際は、神楽坂総合法律事務所へご相談ください。相続問題に精通した弁護士が在籍しており、依頼者様のご希望に寄り添った解決策をご提案します。

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司法書士や行政書士をはじめ、社会保険労務士、土地家屋調査士、不動産仲介会社、遺言執行専門の法人との連携により、ご依頼者様の抱えるさまざまな不安や問題の解消を目指します。
非上場株式の相続に関してお困りの際は、当事務所までご相談ください。

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