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立退きのお願いを書面にする方法

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立退きのお願いを書面にする方法

【読んでいただきたい方】

不動産オーナーの方で、
・貸していた不動産が老朽化しており、建替えたい
・貸していた不動産を自分で使いたいが、借主がなかなか出ていってくれない
・将来的に建て替えを行う予定の建物を貸す予定がある
など、借主の方に立ち退いてもらえるか不安を抱えている方

【目次】

1. はじめに
2. 建物賃貸借契約の更新について-期限の定めのある場合-
① 民法の原則
② 借地借家法による修正
3. 建物賃貸借契約の解約について-期限の定めのない場合-
① 民法の原則
② 借地借家法の原則
4. 更新拒絶、解約申入れはどのようにするのか
① 正当事由のあるものでなければならない
② 具体的な考慮要素
③ 立退料
5. 更新拒絶通知書、解約申入書の書き方
① 更新拒絶通知書
② 解約申入書
6. おわりに

1. はじめに

建物の老朽化などにより、長年人に貸していた家を建て替える必要が生じることがあります。また、家庭状況の変化などにより、貸していた不動産を自己使用することもあると思います。そのような場合、借主に退去をお願いしなければなりません。

では、どのような流れで、立退きをお願いするのでしょうか。ここでは、その流れを見ていきましょう。

当事務所は、不動産案件に注力した事務所で、年間100件以上不動産に係る案件の受任、相談をこなしています。
過去の立退案件では、不動産会社や区の担当者(生活保護受給者の場合)と連携し、転居先建物の準備や引越費用の捻出等も含めてすべて対応したことで、立退きを無事実現したことがありました。
しかし、立退き案件の場合には、必ず立退きが成功するとは言えません。当事務所でも立退きが完遂できなかった事案もあります。ですが、そのような事案でも家賃増額等を行って、投資利回りをあげるようにする等の対応をしてきました。
当事務所では、不動産会社と提携して、不動産の売却や買取のサポートも対応しております。加えて、代表弁護士自身も不動産投資を行っており、自身の案件でも退去交渉等をおこなっていることから、不動産オーナーの視点からのアドバイスも可能です。

土地や建物の立ち退き交渉をお考えの方は、一度ご連絡ください。

2. 建物賃貸借契約の更新について-期限の定めのある場合-

① 民法の原則

民法では、建物賃貸借契約の存続期間を50年以下とすることが定められています(604条1項)。そして、その存続期間は、50年を超えない範囲で更新することができるとされています(同条2項)。

② 借地借家法による修正

通常の借家の賃貸の場合、民法だけでではなく、借地借家法が適用されます。
借地借家法では、賃借人に手厚い保護がなされています。その具体的な内容を見ていきましょう。

まず、民法604条は、建物の賃貸借については適用されません(借地借家法29条2項)。、そして、存続期間は、1年以上とされ、上限は設定されていません(同条1項)。

そして、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、貸主が、借主に対して、更新拒絶通知等をしなかった場合には、それまでの契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます(同法26条1項)。つまり、貸主が何かアクションを起こさない限り「自動更新」されてしまうということがいえます。

つまり、この「自動更新」を止めるためには、更新拒絶の通知をする必要があります。

3. 建物賃貸借契約の解約について-期限の定めのない場合-

① 民法の原則

期間の定めのない賃貸借契約の場合、終了させるには、解約の申入れをする必要があります。民法では、建物賃貸借契約は、貸主が、借主に対して、解約申入れをした日から3ヶ月が経過すると終了すると定められています(617条1項1号)。

② 借地借家法による修正

借地借家法においては、建物賃貸借契約は、貸主が、借主に対して、解約を申し入れをした日から6ヶ月が経過すると終了すると定められています。つまり、解約申し入れから契約の終了までの期間が伸ばされたということになります。

いずれにせよ、解約申入れをしなければ、立ち退いてもらうことはできません。

4. 更新拒絶、解約申入れはどのようにするのか

ここまで、建物賃貸借契約に①期限の定めがある場合には更新拒絶、②期限の定めがない場合には解約申入れが必要であることがわかりました。
では、単にこれらを行えば、契約が終了して立ち退いてもらえるのでしょうか。既に述べたように、借地借家法は、立場の弱い借主を保護するための法律ですから、そのようなことにはなりません。では、具体的に見ていきましょう。

① 正当事由のあるものでなければならない

借地借家法には、以下のような規定があります。

建物の貸主による更新拒絶の通知や、解約の申し入れは、貸主と借主が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人対して財産上の給付をする旨の申し出をした場合におけるその申し出を考慮して、正当な事由があると認められる場合でなければ、することができない(同法28条)。

大事なポイントは、更新拒絶の通知や、解約の申し入れは、「正当な事由」があると認められる場合でなければ、することができないということです。この「正当な事由」があるか否かを判断する考慮要素が、長々と列挙されているのが、この条文ということになります。では、その考慮要素を一つ一つ見ていきましょう。

② 具体的な考慮要素

建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情

これは、上記の考慮要素の中でも基本となる事情です。「賃貸人が建物を必要とする事情」が優越する場合には「正当の事由」が認められる方向に、「賃借人が建物を必要とする事情」が優越する場合には「正当の事由」が認められない方向に働きます。

建物の賃貸借に関する従前の経過

従前の経過については、賃料の額や支払状況、当事者間の信頼関係などが考慮されます。

「正当の事由」を肯定する方向の事情としては、例えば、賃貸借契約時に好意的な貸与という性格が強かったこと等が挙げられます。
逆に、「正当の事由」を否定する方向の事情としては、賃借人が権利金を支払っている、賃借人が契約上の義務を履行しているなどの事情が挙げられます。

例えば、誠実な賃借人として義務に欠けることなく10年余り営々として営業の基盤を築いてきた賃借人に対し、解約申入れをした賃貸人が執拗、悪質な営業妨害行為をくり返し、事実上、賃借人を営業停止に追い込んだ場合には、「正当の事由」が認められない可能性が高くなります。

建物の利用状況

利用状況については、借主が、契約目的にしたがって使用してきたかどうか等が考慮されます。

例えば、賃借人が騒音トラブルを引き起こしたりした結果、賃貸人・賃借人間の信頼関係がもはや失われているなど、賃借人の建物利用態様が不良であるといえるような事情がある場合、「正当の事由」を肯定しやすくなります。

建物の現況

例えば、賃貸建物が既に建築後60余年を経過し、老朽化が著しく地盤崩壊等の危険性すらあるなど、建物修補の必要性が高い場合には、「正当の事由」を肯定しやすくなります。

③ 立退料

条文の後半にある「建物の明渡しの条件」又は「建物の明渡しと引換えに」、貸主が借主に対してする、財産上の給付のことを、一般的に「立退料」といいます。正当な事由の判断にあたっては、上に挙げた考慮要素のほか、「立退料」の支払いについても考慮されます。

立退料が十分な額支払われる場合には、「正当の事由」を肯定しやすくなります。しかし、
立退料は、それを支払えば正当な事由が認められるというようなものではなく、正当事由がある程度認められる場合の、不足分を補うような役割を果たすものです。

また、立退料の算定にあたっては、「このような計算式で算定する」というような明確な公式は存在しません。強いていえば、借主が立ち退くことによって生じる、転居するためにかかる費用や、その他借主に生じる損失、借家権の価格等を考慮して決定されます。

訴訟において建物の明渡しを争う場合には、裁判所が、これらの事由を考慮して立退料を決定します。場合によっては、賃貸人の申し出た額よりも高額の立退料が認定されることもあります(最判昭和46年11月25日民集25巻8号1343頁)。

5. 更新拒絶通知書、解約申入書の書き方

ここまで、どのような場合に更新拒絶や解約が認められるかご理解いただけたでしょうか。次に、通知や申し入れを実際に行うために、その具体的な内容を書面におこす必要があります。

① 更新拒絶通知書

  • 締結している賃貸借契約の内容:締結日、賃料、支払期日、契約期間など
  • 「正当な事由」が認められること
  • 物件の表示:所在、家屋番号、種類、構造、床面積など

② 解約申入書

  • 締結している賃貸借契約の内容:締結日、賃料、支払期日
  • 「正当な事由」が認められること
  • 物件の表示:所在、家屋番号、種類、構造、床面積など

これらの事項を記載して、借主の方にお渡ししましょう。これにより、立ち退きのお願いを書面にすることができ、交渉の内容を明確にすることにもつながります。

6. おわりに

立退き交渉においては、正当事由が認められないと法的な手段で追い出すことはできません。そのため、まずは、合意解約ができるように借主とコミュニケーションをとることが大切です。
また、立退きをしてもらう場合には、新しい自宅や店舗を借りる初期費用引越し費用もかかりますし、店舗等では移転に伴う休業により売上が低下することも考えられます。そのため、そのような借主の立場に対する配慮も重要になります。例えば、立退きに際して、当面の賃料を減額したり、転居先を一緒に探したりする等の協力をすることも、ときには必要です。

一方で、立退きを機に不当に高額な立退料を要求されることもあります。特に、賃貸物件が店舗の場合には、営業費用の損失を理由に多額の要求をされることがあるので、注意が必要です。

さらに、東京都内では、建物の老朽化が進み、一般的な相場よりも相当程度安い賃料を定めていることや、借家人が1人、2人しかおらず、有効に活用されていない不動産も数多くあります。このような場合には、立退きと併せて、賃料増額交渉を行うことも一つの手です。
そして、このような不動産の場合には、訴訟を提起し、裁判所による正当な立退料の判断がなされる他、明渡請求が認められる場合も多いといえます。

正当事由の判断や訴訟の提起に関しては、専門的な知識に基づく判断が求められるため、立ち退きについてお悩みの際には、ぜひ一度当事務所の弁護士にご相談ください。

神楽坂総合法律事務所は、千代田区、中央区、港区、渋谷区、文京区などの東京23区を中心に、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県などで、借地権の更新拒絶・地代の値上げ・登記の名義変更・明け渡し請求・更新料・増改築禁止特約・トラブルの対応など、さまざまな借地権の法律問題について、相談を承っております。 お悩みの際はお気軽に当事務所までご相談ください。

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