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「コロナによるシフト減」アルバイトでも手当・支援金を請求できる?

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「コロナによるシフト減」アルバイトでも手当・支援金を請求できる?

【読んでいただきたい方】
  • ・コロナの影響で休業を要請された従業員の方
  • ・コロナの影響でシフトを減らされたパート・アルバイトの方
  • ・休業手当を受け取ったが額が十分なのかわからない従業員の方

【目次】

1. はじめに
2. パート・アルバイトでも休業手当はもらえる?
① そもそも休業手当とは
② コロナによる休業でも手当はもらえるのか
③ シフトが入れられない場合は休業になるか
④ 額の算定
3. パート・アルバイトも雇用調整助成金の対象?
① 雇用調整助成金とは
② 支給対象
③ 支給額
④ 申請方法等
4. パート・アルバイトも休業支援金の対象?
① 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金とは
② 支給対象
③ 支給額
④ 申請方法・手続-職場から指示がなくても申請できます
5. その他の給付制度
6. おわりに

1. はじめに

昨今のコロナウイルス感染拡大防止の自粛の影響で、会社から休業やシフトの減少、自宅待機を要請された方も多いのではないでしょうか。
突然の休業やシフトカットにより収入が減少した場合、各種の支援制度が設けられています。

この記事では、それぞれの制度について、誰が対象なのか、いくらもらえるのかなどを解説していきます。

神楽坂総合法律事務所は、労働分野にも注力した法律事務所で、雇用調整助成金の申請をはじめ、残業代や未払給与の回収案件も数多く手掛けています。また、当事務所では、社会保険労務士と連携してワンストップで労働関係の問題をサポートしております。

休業支援をめぐるトラブルについて、わからないことがある方、不安がある方は、一度ご連絡ください。

2. パート・アルバイトでも休業手当はもらえる?

① そもそも休業手当とは

労働基準法26条

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

「使用者の責に帰すべき事由」による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の6割以上の手当を支払わなければならないとされています。

このように、会社の都合で従業員を休ませた場合に、会社が義務として支払わなければならない手当が、「休業手当」です。

② コロナによる休業でも手当はもらえるのか

注意が必要なのは、不可抗力による休業の場合は、「使用者の責に帰すべき事由」に当たらず、休業手当の対象にならないという点です。

不可抗力とは、

  • ⅰ)その原因が事業の外部より発生した事故であること
  • ⅱ)事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること
    という2つの要件を満たすものをいいます。

新型コロナウイルスの感染防止のための休業については、「使用者の責に帰すべき事由」に当たるものと当たらないものがあります。

「使用者の責めに帰すべき事由」に該当しない場合の例
  • 都道府県からの休業要請が出ている場合
  • 新型コロナウイルス感染症に感染した従業員を休業させる場合
  • 取引先の業務が一時停止するなどで材料の調達に支障が出た場合で、他の調達先がない場合等
「使用者の責めに帰すべき事由」に該当する場合の例
  • 自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合
  • 新型コロナウイルス感染症への感染が疑われる従業員を、企業側が自主的な判断で休業させる場合
  • 取引先の業務が一時停止するなどで材料の調達に支障が出た場合で、他の調達先が確保できる見込みがあるのに十分な検討なく休業する場合等

※上記はあくまで典型例です。
実際には事案に即した検討が必要になります。
判断が難しい場面もあるかと思いますので、ご不安な方はご相談ください。

③ シフトが入れられない場合は休業になるか

アルバイト・パートの従業員に対しても休業手当の適用はあります。
しかし、シフト制のアルバイト・パートの雇用契約においては、「所定労働日はシフトによる」という定めがなされているだけで、具体的な労働日数は、毎月個別に決めるという方法が取られることがあります。
この場合、そもそも「休業」ではなく、シフトが入らなかっただけ、ということになれば休業手当の支給対象にはならないのか、という問題が生じます。

どの場合に「休業」にあたり、どの場合に「シフト調整」になるのかの判断は、はっきり定められているわけではなく、個々の事案に応じた判断が必要になります。

たとえば、契約書に「労働日数は週3回。具体的な勤務はシフトによる。」と記載がある場合には、週3回は労働日数が確保されえており、具体的な出勤日をシフトで調整すると解釈できます。したがって、この場合には、新型コロナウイルスによる影響がなければシフトに入り勤務をしていた可能性が高いといえ、休業手当の対象となると考えられます。

これに対し、「所定労働日はシフトによる」との記載しかなく、出勤日ごとにバラバラにシフトを入れる場合(例えば月ごとにシフト表を出して、店長等がシフトを決める場合等)には、新型コロナウイルスの影響にかかわらず、所定労働日が決まっていないため、休業の前提を欠くともいえます。

ただ、労働法の分野では、理論だけでなく、個々の契約の合理的解釈や信義誠実の原則に照らした検討により、労働者を保護する傾向にあります。そのため、契約書の記載だけを形式的に読むと休業手当の対象とならないように思う場面でも、休業手当が認められる可能性もあります。

④ 額の算定

では、休業手当の対象となる場合、その額はいくらになるのでしょうか。
手当の支給額の計算についてもご説明します。

計算方法は以下の通りです。

「休業手当」=平均賃金(「休業前3か月間に支払われた賃金の総額」÷「その期間の総日数で割った金額」)×0.6×休業日数

「平均賃金」とは、
「休業前3か月間に支払われた賃金の総額」÷「その期間の総日数で割った金額」
をいいます。

総日数が分母になりますが、休業日数として数えられるのは、実際に休業となった日(稼働するはずだった日)のみです。

そのため、休業手当の額は、通常の月給の6割より少なくなる可能性がありますのでご注意ください。

3. パート・アルバイトも雇用調整助成金の対象?

① 雇用調整助成金とは

休業手当という制度があるとはいえ、休業手当の対象となるかの判断が難しい場合に「コロナによる業績の悪化で休業手当を支払えない!」といった事情を背景に、休業手当の支給を断る事業者の方もいるかもしれません。

その場合は、事業主に対して雇用調整助成金の申請をしているか確認しましょう。

雇用調整助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減少しても、企業が従業員の雇用を維持した場合に、事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。そして、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、雇用調整助成金の給付要件は大幅に緩和されています。

ですので、事業主が雇用調整助成金をまだ申請していない場合には、雇用調整助成金を申請してもらい、その助成金から休業手当をいただく、という方法が考えられます。

ただ、雇用調整助成金は、労働者が直接国から給付金を受け取る制度ではなく、事業主の協力が必要な制度です。 そこで、事業主の協力なしに労働者が直接支援を受けられる制度としては、休業支援金・給付金が用意されています(休業支援金・給付金については後述します)。

② 支給対象(休業の場合)

では、そもそもアルバイトやパートの従業員も雇用調整助成金の対象となるのでしょうか?

雇用調整助成金の助成対象は、事業主に雇用された雇用保険被保険者に対する休業手当などであるため、非正規雇用の労働者であっても支給対象となります。

ただ、学生アルバイトなど、雇用保険に加入していない方への休業手当も、「緊急雇用安定助成金」として助成対象となっています。申請先や助成の内容は雇用調整助成金と同じです。

新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置では、支給対象となる事業者の範囲が広げられており、

  • 新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
  • 最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している
  • 労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている

という条件を満たす全ての業種の事業主が対象となっています。

その他の細かい要件や判断基準については、厚生労働省のHPに記載されています(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_20200515.html)。

③ 支給額

(平均賃金額 × 休業手当等の支払率)× 下表の助成率(1人1日あたり15,000円が上限)

区分 中小企業 大企業
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主 4/5 2/3(4/5)
解雇をしていない等の上乗せの要件を満たす事業主 10/10 3/4(10/10)

※()内は、解雇などを行っていない場合の助成率
(参考:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html#abstract)

④ 申請方法等

事業所の所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークでの申請や郵送での申請が可能です。

4. パート・アルバイトも休業支援金の対象?

① 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金とは

  • 「休業手当がでない」
  • 「事業主が協力的ではない」

という場合も、あきらめるのはまだ早いです。

シフト減で苦しい生活を余儀なくされているアルバイトやパートの方のために、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金という制度があります。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金は、新型コロナウイルス感染症防止措置の影響で休業させられた労働者のうち、休業手当を受けることができなかった方に対し、当該労働者の申請により、支援金を給付する制度です。

一般に「休業支援金・給付金」と呼ばれています。
この給付金は、

  • 短時間勤務やシフトの日数減少なども対象になる。
  • 労働者自身が直接給付金を受給できる
  • 事業者の協力がなくても申請できる

という点にメリットがあります。

以下では、具体的な内容について確認していきましょう。

なお、以下の情報は、令和3年2月15日現在の情報です。今後の状況により、随時更新される可能性があります。

② 支給対象

  • 令和2年10月1日から令和3年2月28日に、新型コロナウイルス感染症の影響受けた事業主が休業させた中小事業主に雇用される労働者
  • その休業に対する賃金(休業手当)を受けることができない方

学生アルバイトや、外国人の方、登録型方派遣、日雇派遣労働者の方も、要件を満たせば支給対象となります。

※シフト制・日雇い制の労働者の方の場合、事業主が休業させたことについて、事業主と労働者の認識が一致した上で支給要件確認書を作成することが必要になります。
ただ、事業主に確認書の作成を申し出たにもかかわらず、事業主の方が確認の記載を拒んだ場合には、「協力を得られない」旨と背景事情を確認書に記載することで申請が可能です。

つまり、休業支援金・給付金は、事業者の協力がなくとも申請が可能であり、
その点がメリットといえます。

さて、シフト制等の場合、シフトの減少をどう評価するかの判断が難しく、本当に必要としている人に給付金が届かないことが問題視されていました。

そこで、厚生労働省は、

  • 労働条件通知書に「週○日勤務」などの具体的な勤務日の記載がある、申請対象月のシフト表が出ているといった場合であって、事業主に対して、その内容に誤りがないことが確認できるケース
  • 休業開始月前の給与明細などにより、6か月以上の間、原則として月4日以上の勤務がある事実が確認可能で、かつ、事業主に対して、新型コロナウイルス感染症の影響がなければ申請対象月に おいて同様の勤務を続けさせていた意向が確認できるケース(ただし、新型コロナウイルス感染症の 影響以外に休業に至った事情がある場合はこの限りではありません。)

の場合は、シフト制の減少も休業と同様に扱うとしています。(厚生労働省リーフレットhttps://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000729467.pdf)

さらに、当初は、中小企業の労働者のみが支給対象者でしたが、
厚生労働省令和3年2月12日付プレスリリースによれば、

大企業に雇用されるシフト労働者(シフト制、日々雇用、登録型派遣等労働契約上、労働日が明確でない場合)であって、事業主が休業させ、休業手当を受け取っていない方

も支給対象者に追加されています。

③ 支給額

休業前賃金の80%、1日あたりの上限11,000円を休業実績に応じて受け取れます。具体的には、以下の方法で算定されます。

(休業前の1日あたり平均賃金)×80%             ……ⅰ
       ×
{(各月の日数)―(就労した又は労働者の事情で休んだ日数)}  ……ⅱ

  • ⅰ:一日あたりの支給額(上限11,000円)
  • ⅱ:休業実績
  • 時短営業などで勤務時間が減少した場合でも、1日4時間未満の就労であれば、1/2日休業したものとして対象となります。
    例)1日8時間から3時間の勤務になった場合
  • 月の一部分の休業も対象となります。 (就労した日などを休業実績から除いた上で対象となります。)
    例)週5回から週3回の勤務になった場合

支給対象となる大企業の労働者の支給額は以下のとおりです。
令和3年1月8日以降の休業の場合:休業前賃金の80%
令和2年4月1日から6月 30 日までの休業の場合:休業前賃金の60%

④ 申請方法・手続-職場から指示がなくても申請できます

申請期限

休業期間が令和2年10月〜12月の場合:令和3年3月31日(水)
休業期間が令和3年3月から緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末までの期間の場合:対象期間の末日の属する月の3ヶ月後の末日

今後緊急事態宣言が延長されなければ、7月末日が申請期限になります。

申請方法

オンライン(厚生労働省特設HPの申請ページ)と郵送の2つの方法があります。
【必要書類】
支給申請書、支給要件確認書(基本的に労働者と事業主で協力して作成)、本人確認書類(免許証の写しなど)、振込先口座確認書類(キャッシュカードの写しなど)、休業前および休業中の賃金額を確認できる書類(給与明細の写しなど)

ご自身が給付対象になるか、いくら給付されるのかご不安な場合、厚生労働省の相談窓口、コールセンターを活用することも可能です。
また、当事務所でも申請手続のサポートを行っておりますので、お気軽にご相談ください。

5. その他の給付制度

休業支援金や休業手当の他にも、いくつか支援制度が用意されています。

例えば、

  • 失業保険
  • 緊急小口資金
  • 総合支援資金
  • 住居確保給付金 など

ご自身が支給対象かどうかご不安な場合、まずは厚生労働省の窓口や当事務所までご相談ください。

6. おわりに

いかがだったでしょうか。
この記事では、パートやアルバイトの方でも利用可能な様々な種類の支援についてご説明致しました。この記事が各種の給付制度の活用を検討する上での助けとなれば幸いです。

生活に不安を感じ、制度を必要としている多くの方に支援金が行き届くことを願いますが、種類が多く、要件や手続にも細かいので一から調べることに負担を感じてらっしゃる方も多いと思います。

神楽坂総合法律事務所では、社会保険労務士と協同して、各種の申請手続を一括してサポートしておりますので、休業手当や休業支援金についてお困りの際は、お気軽に当事務所にご相談ください。

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