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知っておくべき借地権の譲渡・抵当権設定

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知っておくべき借地権の譲渡・抵当権設定

【読んでいただきたい方】

不動産を賃借しているけれど、
・親から借地権付き建物を相続して、処分しようか迷っている
・借地権付建物を相続したけれど、相続人間で揉めてしまっている
と借地権の相続についてお困りの方

【目次】

1. はじめに
2. 知っておくべき借地権の譲渡
① 借地権の種類
② 賃借権の譲渡
賃借権の譲渡の承諾について
土地の賃借権譲渡承諾に代わる裁判所の許可について
③ 地上権の譲渡
④ まとめ
3. 知っておくべき抵当権設定
① 抵当権とは
② 抵当権が設定できる場合
③ 抵当権を設定するために必要なこと
4. おわりに

1. はじめに

借地権とは、他人の土地を使用する権利のことをいいます。
抵当権とは、借金やローンなどの債務について、不動産を担保とする権利をいいます。
どちらの権利も、不動産という一般的に価値の高い物に関する権利であり、一度こじれると大きなトラブルになることも多い権利であるといえるでしょう。

そこで、借地権の譲渡や抵当権の設定において、どんなトラブルが生じ得るのか、トラブルを防止するためにはどんなことができるのかを確認しましょう。

この記事では、
そもそも借地権の譲渡とはどういう意味か? 借地権を譲渡する場合に貸主に承諾してもらう必要があるのか? 借地権に抵当権を設定したい場合に注意することはあるのか? など、借地権の譲渡や抵当権設定における注意点を解説していきます。

弁護士法人神楽坂総合法律事務所は、年間100件以上、不動産・相続に係る案件の受任・相談に取り組む、不動産相続に注力した事務所です。また、当事務所は、司法書士・土地家屋調査士とも協働し、借地権付き建物の登記申請や建物売却前の土地の測量等もワンストップで対応しています。

実際に、当事務所が関与した借地権付建物に係る案件には以下のようなものがあります。

  • 借地権付建物を相続できると知らずに、地主から更地にして返すよう要求されていた借主に代わって地主と交渉することにより、立退料として数千万円を取得
  • 相続した借地権付き建物の買取りを地主に拒否された方に代わって、裁判所の許可を取得して、借地権付き建物のまま第三者へ数千万円で売却

借地権付建物を相続して、このあとどうしたらよいかわからない方、相続した借地権付き建物の処分について底地権者とトラブルとなっている方は、ぜひ一度ご連絡ください。

2. 知っておくべき借地権の譲渡

① 借地権の種類

借地権には、よく利用されているものとして、次の2種類があります。

土地賃借権

1つ目は、賃貸借契約に基づく土地の使用収益権(民法601条、616条、594条1項)です。ここでは、以下「賃借権」と呼びます。

地上権

2つ目は、地上権です。民法265条は、地上権について「他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利」と定めています。この工作物とは、建物や看板なども含みます。
なお、借地借家法という法律が定義している「借地権」とは、「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」のことをいいます(借地借家法2条1号)。

借地権が、賃借権なのか地上権なのかによって、借地権を譲渡できるのか否かについて大きな違いがあります。そのため、借地権を譲渡するまえに、借地権が賃借権なのか、地上権なのか確認することが必要です。

② 賃借権の譲渡

賃借権を譲渡する場合に、原則として貸主から承諾をもらう必要があります。

というのも、賃借権は、賃貸借契約に基づいて、貸主に対してその土地を使うことを許してもらう権利です。
貸主としては、賃貸物件を適切な用法を守って使用してくれるのか、ちゃんと賃料を払ってくれるのかなど、借主の属性を見て、賃貸借契約を結んでいるため、当事者の信頼関係が極めて重要です。
にもかかわらず、賃借人が賃借権を他の人に自由に譲渡できてしまうと、賃貸人が全く知らない赤の他人に賃貸物件を貸さなければならないことになります。

このような不都合を防ぐため、賃借人は、賃貸人に無断で借地権を第三者に譲渡することや転貸することを禁止されています(民法612条1項)。
無断で賃借権を譲渡や転貸した場合には、原則として賃貸人は、当該賃貸借契約を解除することができます(民法612条2項)。

そのため、賃借権を譲渡する場合には、原則として賃貸人の承諾が必要です。

そして、借地そのものを売る場合だけでなく、借地上に建てた自分の建物を売る場合にも賃借権の譲渡が生じています。自分の建物を売買する場合でも、その敷地が賃借しているものであれば、貸主の承諾が必要です。

なお、例外として、土地を他の人に使わせても賃貸人の承諾がいらないケースがあります。
例えば、土地を建物所有目的で賃借して、その上に自分で建物を建てて、その建物を誰かに貸した場合には、その建物を借りた人が土地を使用することにはなりますが、建物の所有権は土地の賃借人が保有しているままである以上、賃貸人の承諾が必要となる賃借権の譲渡や転貸にはあたらないと考えられています。

賃借権の譲渡の承諾について

また、賃借権を譲渡する場合の貸主の承諾は、原則、売主(土地の借主)が取得しなければなりません。賃借した土地や、借地権付建物を売却する場合、必ずご自身の側で底地権者の承諾を得るようにしましょう。

また、借地権付き建物は古いものが多いため、建替え等になる場合もあるかと思います。この場合は別途承諾が必要になるので気をつけてください。

そのため、借地権の譲渡プラス借地上の建物を建て替える場合には、きちんと両方に承諾が必要です。
また、借地権付きの建物は扱いにくいため、業者に買取りをお願いする場合も多いでしょう。この場合、業者が、建物を買って、建替えて、再度売るという流れになれば、承諾は3つ(譲渡承諾2回、建替え1回)必要になります。

土地の賃借権譲渡承諾に代わる裁判所の許可について

土地の貸主が賃借権譲渡に承諾しない場合、売主(賃借人)は、譲渡承諾に代わる裁判所の許可という制度を使うことも可能です。
貸主が承諾しない場合でも、譲渡承諾に代わる裁判所の許可を得ることができれば、貸主から承諾を得たのと同じ扱いになります。

手続き

土地の賃借権譲渡承諾に代わる裁判所の許可を得るためには、借地の所在地を管轄する地方裁判所(借地借家法41条本文)に申し立てる必要があります。ただし、当事者の合意がある場合には、簡易裁判所に申し立てることができます(同条ただし書)。

この許可の申立は、原則として、借地権を譲渡する前に賃借人がしなければなりません。
また、建替えの許可も必要な場合には、別途申立てを行なう必要があるので気をつけてください。
手続きの大まかな流れは以下のとおりです。

申立書の郵送:裁判所は、第1回審問期日を定めて申立人から提出された申立書を土地所有者(相手方)に郵送します。

  • 審問期日
    裁判所は、当事者(申立人及び相手方)から陳述を聴きます。
  • 鑑定委員会
    裁判所は、許可の可否、承諾料額、賃料額、建物・借地権価格等について鑑定委員会に意見をききます。鑑定委員会の意見書は当事者に送付されます。
  • 最終審問期日
    鑑定委員会の意見について、当事者から意見を聴くための最終審問期日が開かれます。
  • 決定書
    審理が終わった後、裁判所から決定書が送付されます。
期間

期間は、申立てから決定まで約半年から1年くらいが一応の目安になります。

費用

申立てには、申立手数料を納付する必要があります。申立手数料は、賃借権が設定された土地の価格(固定資産税評価額のある土地については、その価格)を基礎として算定されます。

注意

通常利用されている借地権の譲渡ということであれば、承諾許可が認められないことはほとんどないように思います。
もっとも、承諾料については、権利金授受の有無等の事情を考慮して定められ、通常は借地権価格の10%程度の財産上の給付を命じられています。

いずれにせよ、土地賃借権の場合には、貸主(又は裁判所)の許可が必要です。
手続きや交渉に不安がある場合は、一度当事務所までご相談ください。

③地上権の譲渡

一方、地上権は、物に対する支配権であり、自由に譲渡することができます。

よって、借地権が地上権の場合、地上権設定契約に制限がなければ、その土地の所有者などの承諾なく、自由に地上権を譲渡することができます。

④まとめ

借地権を賃貸人(所有者)の承諾なく譲渡できるかどうかは、その借地権が賃借権なのか、地上権なのかによって異なります。
賃借権の場合は、原則として承諾が必要です。地上権の場合には承諾が不要です。
借地権を譲渡しようと思っている場合には、まず自分の借地権がどのような権利なのかを確認してみましょう。

3. 知っておくべき抵当権設定

借地権付の建物を譲渡するのではなく、担保として利用する場合には、抵当権の設定をすることになります。抵当権設定についての基礎と注意点について確認しましょう。

① 抵当権とは

抵当権とは、借金などの債務が返済されない場合に、土地や建物などの不動産を競売や強制管理などの強制執行をすることで、債務を充当することができる権利です。

② 抵当権をつけることができる場合

借地権が賃借権の場合、借地権に抵当権を設定することはできません。
一方で、借地権が地上権の場合には、地上権に抵当権を設定することができます。
また、借地上に自分の建物がある場合、借地権が賃借権か地上権かにかかわらず、その建物にも抵当権をつけることができます。

建物に抵当権を設定すると、その建物がある土地に賃借権もまとめて抵当権が設定されたことになります(最判昭和40年5月4日民集19巻4号811頁)。
そして、この建物についての抵当権が実行されて競売に出され、その建物を他の人が落札すると、敷地の賃借権もこの買主が引き継ぐことになります。

さて、ここでも、土地賃借権の譲渡には底地権者の承諾が必要です。
しかし、抵当権が実行された後に、誰がその賃借権を取得するのかは事前に把握できません。また、賃借権を引き継ぐ人が決まってから承諾を求めると、抵当権を実行しても、建物の買主が決まらず、手続きが遅れたり、売却価格に影響したりしてしまいます。

そのため、借地上の建物の抵当権が実行され、その建物を落札した人は、借地権の譲渡について賃貸人の承諾に代わる裁判所の許可を申し立てることができます。手続きは、上述した賃借権の譲渡に代わる裁判所の許可と同じです(借地借家法20条1項。)

③ 抵当権を設定するために必要なこと

抵当権を設定するためには、以下の条件を充たさなければなりません。

i. 抵当権設定契約を締結すること
ii. 抵当権の目的物が不動産(369 条1 項)又は地上権,永小作権(369 条2 項)であること
iii. 抵当権の設定者が所有者(権利者)であること
iv. 抵当権で担保する債務(被担保債権)が存在すること

この4つの条件を充たすと、抵当権が設定できます。
抵当権を持つ人は抵当権者、抵当権の負担を受ける権利(所有権など)を有している人のことは抵当権設定者と呼ばれています。

抵当権を抵当権設定者以外の第三者に主張するためには、抵当権について登記をする必要があります(民法177条)。
そもそも抵当権は、抵当権者がその不動産を使うことを想定していない権利です。そのため、抵当権の場合には特に、登記が重要な意味を持っています。

抵当権の設定契約をした場合には、抵当権者とのトラブルを避けるためにも必ず登記をするようにしましょう。

4. おわりに

借地権の譲渡や抵当権設定については、底地権者や抵当権者、賃借権を譲り受けた人、抵当権についての債権者等との間で複雑な問題が生じることがあります。さらに、権利の内容によって取りうる手段が違ってくるので、トラブルの対処やトラブルの防止についてお悩みをお持ちの方も多いと思われます。

お悩みの際は、ぜひ神楽坂総合法律事務所までご相談ください。

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