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借地に更新料の支払い義務はあるのか?更新料の相場と金額は?

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借地に更新料の支払い義務はあるのか?更新料の相場と金額は?

【読んでいただきたい方】
  • ・借地上の建物を所有している方
  • ・借地の更新料について不安な方

借地の契約期間が満了して、更新が行われる場合、そもそも更新料を支払う義務はあるのか、いくら支払う必要があるのかという点でトラブルになることがあります。更新料の支払いについて不安な方もいるでしょう。

そこで、このページでは、更新料の支払い義務について、更新料の相場について解説します。

【目次】

1. 借地の更新料を支払う義務はあるのか?
① 法律上、契約更新時に更新料を払う義務はない
②更新料の支払義務は契約書によって決まる
2. 借地の更新料の相場はどれくらい?
①借地権価格とは?
②借地権価格の目安を計算する方法とは?
3. 借地の更新料でのトラブルは当事務所へご相談ください

1. 借地の更新料を支払う義務はあるのか?

借地契約の更新の際には、更新料の支払いが行われることがよくあります。もっとも、そもそも更新料を支払う義務はあるのか、いくら支払う必要があるのかという点でトラブルに発展する場合も多いです。

当事務所では、更新料不払いを理由に地主から明渡請求を受けた借地人からご依頼を受け、明渡請求への対抗や更新料の支払義務がないことの交渉等を行っております。

そこでまずは、更新料を支払う義務はあるのか、また、支払う義務があるにしてもその根拠は何なのか、ご紹介します。

① 法律上、契約更新時に更新料を払う義務はない

まず、借地借家法においては、契約の更新時に更新料の支払いを義務付ける規定はありません。借地借家法では、法定更新を定める規定がありますが、この規定の趣旨は、賃借人の金銭的負担なしに更新の効果を生じさせ、賃借人の生活の安定を図ることにあります。

また、民法92条によって、『事実たる慣習』は法的拘束力を持ちますが、更新料の支払い義務は『事実たる慣習』としては認められないとされています。

このように、法律の規定によって当然に、更新料を支払う義務はありません。

② 更新料の支払義務は契約書によって決まる

したがって、更新料の支払義務の有無は、借地契約の内容によって決まることになります。

そこで、契約書に更新料の支払い義務について

  • 明記されていない場合
  • 明記されている場合

に分けてご説明します。

借地契約の書面がなかったり、更新料が明記されていない場合

借地契約に更新料の特約がない場合、契約上の義務はありません。また、法律によって支払い義務が発生することはないので、この場合支払う必要がないということになります。ですが、実際に、契約書に更新料の特約がない場合であっても更新料の支払いが行われていることは多いです。

その支払いが行われる意味合いとしては、賃料の補充・地代の前払い・借地権消滅リスク・消滅の対価・地主の異議権放棄の対価・将来の地主の承諾確保等、様々です。

また、契約内容によっては更新料の支払義務があるケースもありますが、このように本来、法的には支払うべき更新料を滞納し、契約上行わるべき契約更新手続きを完了させないと、借地権を失い、生活の本拠を失うことにつながりかねません。そのため、トラブルが発生しそうなときには地主さんと話し合いの場を設けた方が安全です
土地を借りるという、長期的な人間関係を基礎とする契約である以上、起こり得るトラブルに備えて地主さんと話し合っておくことは、有意義です。

なお、更新料を支払ったという事情は、将来の法定更新の可否に影響を与えます。

どういうことかというと、まず、法定更新(契約期間満了後、賃借人が使用を継続し、これに対して賃貸人が異議を述べない状態の更新)は貸主が異議を述べない限り無条件で認められます
また、貸主が異議を述べ更新をさせたくない場合でも、「正当な事由」が認められない限り、法定更新が認められることになります。
なお、「正当な事由」が認められるかどうかは、諸般の事情の総合考慮となります。

そして、更新料を支払ったという事実がある場合は、その事実が「正当な事由」を否定する事情として働く可能性があります。なぜなら、貸主が更新料をもらっている以上、その分の利用を借主に認めるべきという判断に傾くからです。

また、過去、更新料を支払った記録がある場合には、たとえ契約書に更新料の支払い義務が記載されていない場合でも、更新料の支払いが必要になる場合があります。この点については別の記事で詳細をまとめているので、そちらをご参照ください。

更新料が明記されている場合

契約内容は当事者を拘束するので、更新料の支払いについて契約書に明記されている場合、更新料を支払う義務が生じます。ただし、一定の場合には、契約の内容が無効となる場合があります。

まず、原則として、更新料の特約は一般論としては有効とされる傾向にあります。なぜなら、更新料の特約は、必ずしも賃借人に不利な内容とはいえないためです。

以前は法定更新に関して更新料の特約を認めることを否定する見解もありましたが平成23年7月23日の判例(以下では平成23年判例と呼びます)は、建物の賃貸借契約の事例ではありますが、
「更新料は、賃料と共に賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であり、その支払により賃借人は円満に物件の使用を継続することができることからすると、更新料は、一般に、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当である。」
とし、一般的には有効ということが示されました

ただし、例外的に.

ⅰ 消費者契約法10条違反による無効の可能性
ⅱ 借地借家法30条違反による無効の可能性

があります。

ⅰ 消費者契約法10条違反による無効の可能性

消費者契約法10条とは、
消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。 (①②③は筆者が追加)」
と定めているものです。

まず、は、期間内に解約しなければ自動的に有料のプランを契約したことになる契約や、法律の任意規定・基本的な考え方に比べて消費者側の権利が制限されたり義務が加えられたりする契約条項を意味します。

賃貸借契約における更新料は、払わなくてよいということが原則であるため、更新料を定めることは、法理(法律の基本的な考え方)に比べて借主が更新料の支払いを求められるという義務が付加されていることとなり、①にあたることになります。

次にについてみていきます。
まず、民法1条2項の規定とは、信義則、つまり社会の一員として、相手の信頼を裏切らず、誠実に行動しなければならないという基本的な原則について定めているものです。
ですので、はこの規定に反して信頼を裏切る、不誠実であると考えられ、一方的に借主に不利益を被らせる契約条項を意味します。
このにあたるかについては、契約が成立するに至った経緯、消費者と事業者(賃貸借契約においては借主と貸主)との間に存する情報の質、量、交渉力の格差やその他の事情を総合考量して判断されます。

最後に、の両方にあたる場合は契約は無効となり、契約の効果が発生しないということになります。

以上が消費者契約法10条の説明です。

ここから「消費者契約法10条違反による無効の可能性」を前述の平成23年判例をあげて説明していきます。

平成23年判例では、上記のの部分について、
「一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条(平成28年の改正前)にいう『民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの』には当たらないと解するのが相当」
という判断がなされています。

簡単に言うと、
「契約書にどのように更新なのか、更新料はいくらなのかが明確に具体的に記載されていて、さらにその更新料が高額すぎるなど広く一般的にみて更新料として異常でない限り、上記のにあたらない」 と判断されました。

つまり、逆に言えば、
(A)一義的かつ具体的に記載されていない場合、そして(B)更新料が高額すぎる場合のいずれかにあたる場合には、消費者契約法10条に違反し契約内容が無効となります。

もう少し詳しく言うと、
(A) については、
更新料特約の条項が、合意更新の場合に限られるのか、法廷更新の場合をも含むのかはっきりしない場合や、そもそもの更新料の金額や計算方法が明確でない場合が考えられます。

たとえば、高裁裁判例(東京高裁令和2年7月20日)にはなりますが、借地契約において「相当の更新料」という文言が用いられた場合に、更新料の支払い義務を否定しています。

その理由として、東京高裁は、「更新料の支払請求権が具体的権利性を有するのは、それが、更新料の額を算出できる程度の具体的基準が定められていることが必要であるところ、本件合意第3項は、その「相当の更新料」という文言が抽象的で、裁判所において客観的に更新料の額を算出することが出来る程度の具体的な基準ではないから、具体的権利性を肯定することができない」としています。

このことから、具体的な金額や計算方法が記載されなければ、更新料特約は無効になるものと考えられます。

(A) については、
諸般の事情を総合考慮した上で、高額すぎるかが判断されることになります。

平成23年判例は、借家契約において、1年間の契約更新に際して2か月分の賃料が更新料と設定されており、これを高額すぎるとは言えないと判断しています。
しかし、高裁判例(大阪高裁平成24年2月29日)では、1年間の契約更新に際して賃料の3.1か月分が更新料とされていることについて、「やや高額であることは否めない」としています。

ですので、たとえば1年間の契約更新で賃料の4か月分が更新料として設定されている場合には無効となる可能性もあります。もっとも、例えば家賃4カ月相当の更新料を前提に、月々の賃料を低額にしている場合等では、このような更新料も認められる可能性もあり、結局は、個別具体的な事情を総合的に考慮したうえでの判断となろうかと思います。

ⅱ 借地借家法30条違反による無効の可能性

借地借家法30条とは、
「この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。」
と定めているものです。

第一に、借地借家法は借主を保護する目的で作られた法律です。
借地借家法3章第1節の中には、26条の「建物賃貸借契約の更新等」があり、
26条で規定していない事項によって、借主が不利になる特約は30条によって無効となります。
ですので、更新料特約が30条に違反して無効になるのかが問題となります。

ここでも平成23年判例をあげると、
「更新料は、賃料と共に賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であり、その支払により賃借人は円満に物件の使用を継続することができることからすると、更新料は、一般に、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当である。」
としています。

  • 更新料が賃料と同様に借主の使用の対価という性質があること
  • 更新料の支払いによって円満に借家の使用を継続できること

という2点から、借主に不利な特約ではないという判断がされました。
そのため、借地借家法30条によって、直ちに更新料特約自体が無効となるとはいえないことになります。

しかし、消費者契約法10条でも問題にされていたように、一義的かつ具体的でない場合や、高額すぎる場合には、不利なものとして借地借家法30条によって無効となる可能性があります。

借地の更新料の相場はどれくらい?

では、借地の更新料の相場はどれくらいでしょうか。
更新料の相場は、地域や土地の広さ、用途等によって価格が異なるので一概には言えませんが、『更地価格の3%』や『借地権価格の5%』といわれています(ただし、場所によっては借地権価格の3%程度~10%程度といわれることもあります)。

ここでは、主に借地権価格について説明していきます。

①借地権価格とは?

借地権や更地価格には、現金や預金額のような客観的な額がありません。そのため、借地権価格は借地権を評価して算定する価格となります。

ここでいう借地権価格とは、相続税や贈与税などの税額計算に用いられる借地権評価額とは異なります。税額計算に用いられる借地権評価額の計算方法には明確なものがありますが、借地権価格の算定にはさまざまな要素が影響するため借地権価格は明確に定まりません

具体的には以下の要素が影響します。

  • 借地権の売却をどれくらい急ぐか
  • 売主と地主の関係性
  • 土地の立地
  • 地代の金額
  • 更新料の有無
  • 建替え承諾料の金額
  • ローン承諾の有無
  • 買主にとっての借地権の魅力

② 借地権価格の目安を計算する方法とは?

借地権価格の目安はどのように計算するのでしょうか。

まず、「借地権評価額=土地の広さ(㎡)×路線価×借地割合」という計算式があります。
この価格は、相続税上の借地権評価額の基本となる金額です。

また、路線価とは、道路に面した土地の価格で、土地の広さ(㎡)を乗じて用いるものです。路線価は国税局や各地税務局によって発表されており、国税局のホームページ(https://www.rosenka.nta.go.jp/)から調べることができます。

土地に借地権が設定されている場合、その土地の権利は、借地権と底地権に分かれます。
底地権とは、借地権の負担のある土地の所有者が持っている土地所有権のことをいい、底地権と借地権を足すと100%になります。

このうち、借地権が占める割合を借地権割合といいます。そして、借地権割合国税庁のサイトから調べることができます。そのサイト内で、路線価図で該当する住所を探し、そこに記載されている数字を見ます。末尾に記載されたアルファベットが借地割合(Aなら90%、Bなら80%、Cなら70%。なお、一般的にCとされる場所が多い)を示します。

このように、借地権の相続税評価額を計算し、一般的な市場価格の参考とすることができます。

また、実勢価格(一般的な市場価格)の目安は「相続税評価価格÷0.8×1.1」で計算することも多いです。ただし、上記金額は、あくまで机上の計算であり、実際の市場価格は、様々な要素によって大きく変動するため、場所等によっては、上記計算方法よりも借地権価格が高いところもありますし、借地権価格が、借地権評価額と同等又はそれ以下というところもあります。

 なお、一般的に、路線価は市場価格より安く評価されるため、更新料の場合の更地価格は、この相続税上の評価額~市場価格の間で決まります。
そのため、市場価格を出すために、不動産会社の査定、不動産鑑定士の鑑定評価を行うこともあります。

借地の更新料でのトラブルは当事務所へご相談ください

借地の更新料に関しては、更新料支払い義務の存否、更新料の額の多寡に関してトラブルが生じる場合があります。また、更新料の相場の計算では明確な額は算定されず、目安の計算も複雑となっています。

借地の更新料でお悩みの際は、神楽坂総合法律事務所へご相談ください。借地の更新に関して精通した弁護士が在籍しており、依頼者様のご希望に沿った解決策をご提案します。

神楽坂総合法律事務所は、リーガルサービスの質の良さと迅速さにこだわります。司法書士や行政書士をはじめ、社会保険労務士、土地家屋調査士、不動産仲介会社、遺言執行専門の法人との連携により、ご依頼者様の抱えるさまざまな不安や問題の解消を目指します。
借地の更新料トラブルに関してお困りの際は、当事務所までご相談ください。

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