- ・相続で不動産を共有名義にした方
- ・共有名義の不動産を売却したい方
不動産を共有名義にすると、共有した人の同意が無いと不動産を売却できないとお考えではないでしょうか。
しかし、実際は共有不動産の自分の持分だけならば、自分だけで売却することが可能です。
今回は、共有不動産や持分について解説していきましょう。
【目次】
- 1.共有不動産と共有持分の違い
- ① 共有不動産
- ② 共有持分
- 2.共有持分を売却するメリット・デメリット
- ①共有持分を売却するメリット
- ②共有持分を売却するデメリット
- 3.共有名義人から不動産売却の同意が得られないとき
- ①共有物分割調停
- ②共有物分割請求訴訟
- 4.共有不動産の売却をお考えなら当事務所にご相談ください
1. 共有不動産と共有持分の違い
まずは、共有不動産と、共有持分の違いについてご紹介します。
① 共有不動産
共有とは、数人がそれぞれ持分を有して1つの物を所有することをいいます。
このような共有となっている不動産を共有不動産といいます。
そして、共有不動産の売却は、共有名義人全員の同意が必要な「処分行為」とされており、一人の判断で行うことはできません。
② 共有持分
共有持分とは、共有不動産の中の自分の持分のことをいいます。
当事者の合意や法律の規定がない限り、持分は平等と推定されます。共有持分そのものの売却は自分だけで行うことができます。
【具体例】
共有状態が発生する代表的なパターンとして、相続が考えられます。相続の発生により、被相続人の死亡時に被相続人に帰属していた一切の権利義務を相続人に包括的に承継されることになります。
そして、相続人が複数いる場合、遺産共有状態にある遺産は、遺産分割協議を経て分割され、その際に相続人の持分の割合も話し合われることになります。
例えば、父の遺産である自宅を3人兄弟で3分の1ずつ分割した場合、
父の遺産である自宅は3人兄弟の共有状態になり、この自宅が「共有不動産」であり、兄弟各人が3分の1ずつの割合で有している持分を「共有持分」といいます。
なお、共有持分の売却と、同様に、共有持分の放棄も、持分権者が一方的に行うことができます。
すなわち、「共有者の一人が、その持分を放棄したとき、または死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する」(民法255条)とされているため、民法は共有持分の放棄を想定しているといえます。
例えば、使い道がないにもかかわらず、管理の責任・固定資産税や都市計画税などの納税義務が発生するだけのマイナスの不動産(いわゆる「負動産」)については、その共有持分を放棄することによって、残りの共有者に持分が帰属することとなります。
ただし、状況によっては、共有持分の放棄が権利濫用となり認められない場合があったり、共有持分放棄について登記を行うためには結局、他の共有者の協力または裁判が必要となる等、注意が必要です。
2. 共有持分を売却するメリット・デメリット
では、共有持分を売却するメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
① 共有持分を売却するメリット
共有持分を売却するメリットとして、共有名義人の同意を得ずに売却ができ、共有状態から解放されることが挙げられます。
共有不動産はその性質上、持分の価格の過半数の同意を得なければならない行為や、全員の同意を得なければならない行為があるため、単独所有に比べて不便な面があります。
持分の過半数の同意が必要な行為としては、
- 短い期間の賃貸借契約の締結
- 賃貸借契約の終了(解除など)
- 共有者の利用方法の決定
などがあります。
共有者全員の同意が必要な行為としては、
- 共有物の売却
- 長期の賃貸借契約の締結
- 改築や増築、建て替え、大規模な修繕
- 抵当権の設定
などがあります。
そのため、不便な面にわずらわしさを感じるなどにより、持分を手放したい方にとっては、持分を売却して金銭に変えられることはメリットといえるでしょう。
② 共有持分を売却するデメリット
共有持分を売却するデメリットとして以下のものが挙げられます。
売却価格が相当安くなる
不動産の価格が120万円に対して持分が3分の1の場合、単純に40万円で売却できるわけではありません。
不動産の価格に対して、売却価格が相当安くなる傾向にあります。不動産によって異なりますが、具体的には、持分の価額の30%から50%程度(上述の例であれば15万~20万円程度)が相場となります。
これは、共有持分という不動産の一部では、①で見たような単独所有よりも不便な点があり、不動産全体を最大限に活用することができないためです。
買取してくれる相手を見つけるのが難しい
繰り返しになりますが、共有不動産の管理行為や変更には各種の制約があります。また、相続人で不動産を共有しているような場合、その一部の持分を第三者に売り渡すと、買主と残りの相続人との共有状態が生まれ、結局、買主は上記のような不便な面を引き継ぐことになります。
また、既に共有者の一部が共有不動産を実際に利用している場合、他の共有者がその不動産を使うことは困難です。
そのため、そのような共有持ち分を購入する意向のある者は多くなく、共有持分を買い取ってくれる相手を見つけるのが難しいというデメリットがあります。
3. 共有名義人から不動産売却の同意が得られないとき
共有不動産の売却は、「処分行為」にあたるため、共有者全員で行う必要があります。すなわち、共有者全員の同意がなければ行うことができません。
まずは、当事者同士で協議を行うこととなり、これで解決すればもっともよいのですが、必ずしも協議で話がまとまるわけではありません。
その場合、以下のような共有物分割調停・共有物分割請求訴訟といった手続きを経ることで現金化することが考えられます。
① 共有物分割調停
共有物分割のトラブルはいきなり訴訟をすることもできますが、話し合いで解決できる可能性があるなら調停を選択するのも手段のひとつです。
共有物分割調停とは、裁判所の調停員が間に入り、話し合いを進める手続きをいいます。調停員の決定に拘束されるといった判決同様の効力はなく、あくまでも調停員を挟んだ話し合いの場となります。そのため、当事者全員の合意があって初めて調停が成立します。
② 共有物分割請求訴訟
訴訟は、原告の訴えによって始まり、裁判所が一定の判断を行う手続きをいいます。この裁判所の判断には拘束力があります。
共有物分割請求訴訟の管轄は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所か、被告の住所地がある地域の地方裁判所にあります。
共有物は共有者全員によってのみ処分できるものなので、共有物分割請求の当事者に、共有者全員が加わっている必要があります。
共有物分割請求訴訟によって分割を行う場合、全員が手続きに関与していることは求められますが、同意がなくとも裁判所によって判断されます。
そして、裁判所の共有物の分割の方法としては、以下の三通りの分割方法が考えられます。
現物分割
現物分割とは、物理的に分割することをいいます。土地の場合、これを分筆して共有状態を解消します。
一方で建物の場合、物理的に分割することは困難であるため、現物分割は一般的ではありません。
代償分割
代償分割とは、共有者の一部が共有物全体を取得し、その他の共有者に代償金を支払う方法をいいます。
基本的には、共有不動産の時価総額を評価したうえで、持分に応じて代償金を払うことになります。
換価分割
換価分割とは、共有物を売却して、売却代金を共有者間で分配する方法をいいます。この時の売却代金は、共有持分の割合に応じて配分されることになります。
共有不動産を売却したいという当初の目的を直接的にかなえる方法となります。
【共有物分割の3つの方法】
| 概要 | メリット | デメリット | |
|---|---|---|---|
| 現物分割 | 不動産の現物そのものを持分割合に準じた価格比となるように、分けて分配する方法 | ・売却作業・売却経費不要 ・譲渡税等の税金不要 |
・土地と違い、家等は、現物分割がそもそもできない ・不動産の価値に応じた公平な分割が難しい ・分割により不動産の価値が下がる |
| 換価分割 | 不動産を売却し、その代金を持分割合で分ける方法。 | ・現金での公平な分割が可能 ・共有者間の価格に対する意見対立を避けやすい ・利用状況等を考慮せずに分割できる |
・売却手続きに時間とコストがかかる ・譲渡税等の税金がかかる ・換価に反対する者がいる場合、競売となり、価格が下がる |
| 代償分割 | ある共有者が不動産を取得し、他の共有者に持分代金を金銭で支払う方法 | ・売却作業・売却経費不要 ・不動産を維持したい共有者と現金希望の共有者双方の要望に応えられる |
・代償金の支払い能力が必要となる ・代償金の評価で意見が分かれる可能性がある |
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●兄弟姉妹3人で老朽化した不動産を相続し、共有となっていたが、そのうちの一人が不動産を独占。残り2人の共有者が心配事・不満などを解消するために、弊所にご依頼。
弊所弁護士が交渉に入り、最終的に、共有不動産を売却し売却益の公平な分配を実現。【換価分割】 -
●離婚により、元奥様と共有状態の不動産に元奥様が住み続けている一方で、依頼者様が住宅ローンを払い続けている状態。依頼者様は、不動産のことや二人の関係をきれいに清算することを希望。
弊所弁護士が交渉に入り、不動産全体を売却し売却益は公平に分配。【換価分割】 -
●2人で共有している不動産を、片方の一人のみが利用しており、もう一人は税金の支払い等リスクばかり抱えメリットを感じられない状況。
依頼者様(税金を支払うのみの方)からこの点を指摘すると、相手方は安価な金額で買い取る旨の代償分割を希望し、訴訟提起。
しかし、当方はその金額が不当であることを主張・立証し、最終的に、30倍強の値段で相手方が買い取ることを実現し、共有状態を解消。【代償分割】
以上、解決事例の一部となります。なお、換価分割の場合、当事務所では、共有物分割の方法が決まったあとに、不動産売却のサポートを行っております。ご希望に合わせ、売却~現金が依頼者様のお手元に渡るまで等、最後の最後までサポートさせていただきます。
共有物分割請求についてのサイトもございますので、ぜひご覧ください↓
https://kyouyubutsu-bunkatsu.com/
4. 共有不動産の売却をお考えなら当事務所にご相談ください
前述のように、共有不動産の売却には共有者全員の同意が求められます。また、具体的な共有物分割のやり方については、任意の話し合い・民事調停・訴訟といった手続きが考えられます。
任意の話し合いについても、弁護士等の専門家を介在させて行った方が円滑に進むことが期待できます。また、民事調停や訴訟といった法的手続きを行うために必要な書類を正確に作成し、円滑に進行させるためには、弁護士に相談することをおすすめします。
共有不動産について売却をお考えの方、お悩みの方などは一度、当事務所までご相談ください。
神楽坂総合法律事務所は、リーガルサービスの質の良さと迅速さにこだわります。
司法書士や行政書士をはじめ、社会保険労務士、土地家屋調査士、不動産仲介会社、遺言執行専門の法人との連携により、ご依頼者様の抱えるさまざまな不安や問題の解消を目指します。
共有不動産に関してお困りの際は、当事務所までご相談ください。
専門の弁護士にご相談ください!
神楽坂総合法律事務所は、不動産トラブルに
豊富な経験と実績があり、相続、企業法務、事業承継・M&A・廃業、労働にも注力しています。







