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会社を廃業したい|会社の解散前に行うべき手続きを解説

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会社を廃業したい|会社の解散前に行うべき手続きを解説

【読んでいただきたい方】
  • ・会社の廃業を考えている方
  • ・後継者がいないため廃業を考えている方

【目次】

1. 会社を廃業するには「解散」手続きと「清算」作業をする必要がある
① 解散の手続きとは?
② 清算の作業とは
2. 廃業とは?倒産との具体的な違い
① 廃業は会社が事業を終わらせること
② 倒産は会社の経営破綻等で事業をやめざる得ないこと
3. 会社の解散日が決まったらするべき手続きとは
① 取引先へ廃業することを通知
② 在庫商品は売却か廃棄処分する必要がある
③ 会社名義の不動産は売却して名義変更を行う
④ 物件を借りている場合は賃貸契約を解除する必要がある
⑤ 許認可関係の廃業届や加入団体の退会手続きをする
4. 会社を廃業する場合の従業員への対応とは?
① 解雇通知を行う
② 廃業について説明会等を行う
③ 役員・従業員の退職金を用意する
5. 会社の廃業は手順を誤るとトラブルに発展する可能性がある
6. 会社の廃業を検討している方は神楽坂総合法律事務所にご相談ください

1. 会社を廃業するには「解散」手続きと「清算」作業をする必要がある

① 解散の手続きとは?

会社を廃業するためには、まず会社の「解散」手続きをする必要があります。

会社の法人格を消滅させる解散の原因としては、具体的には、

  • ① あらかじめ定款で定めた存続期間の到来、
  • ② あらかじめ定款で定めた解散事由の発生、
  • ③ 株主総会の特別決議、
  • ④ 合併、
  • ⑤ 破産手続きの開始決定、
  • ⑥ 解散命令・解散判決

が挙げられます(会社法471条)。

会社の廃業は、株主が自らの意思で会社の解散を行うことがほとんどなため、③株主総会の特別決議で解散されることがほとんどです。

会社の解散があったとしても、直ちに法人格が消滅するわけではなく、後続する清算手続き中、法人格は存続することになります 。

② 清算の作業とは

会社が解散をしたとしても、会社には未だ回収していない債権、弁済していない債務、株主に対して分配する必要がある残余財産が残っています。

そのため、会社の後始末として、

  • ・会社財産の調査
  • ・債権の回収
  • ・債務の弁済
  • ・契約関係の終了作業
  • ・残余財産の株主に対する分配
  • ・決算報告書の作成と株主総会の承認
  • ・清算結了とその登記

を行う必要があります。

法人格は清算手続きが完了し、清算結了の登記が完了することによって消滅します。
また、上記手続きは、解散前は(代表)取締役であった者達が、(代表)清算人として進めていくことになります。

2. 廃業とは?倒産との具体的な違い

① 廃業は会社が事業を終わらせること

廃業とは、自主的な判断によって会社の事業を終了し、法人格の消滅を行うことをいいます。

主な原因としては、後継者不足、人材不足、需要の低迷、これらに伴う経営状況、資金繰りの悪化が考えられます。
特に、わが国では高齢化の進展に伴う経営者の高齢化、中小企業の事業承継は社会的な課題として認識されています。

具体的には、休廃業・解散した会社の経営者の平均年齢は、2013年から2020年まで上昇傾向にあり、2013年時点の60.4歳から上昇し続けています。
2021年になると、休廃業・解散をした会社の代表者の年齢は70代の割合が最も多く、70代以上が全体を占める割合は6割を超えています。
また、後継者不在企業の割合は、2017年の66.5%をピークに減少傾向位はあるものの、2021年時点で61.5%を推移しています。

② 倒産は会社の経営破綻等で事業をやめざる得ないこと

一方、倒産とは、会社や事業の経営が金銭的な事情で困難になっている状態のことをいいます。
経営難・資金繰りの悪化によって、債務超過になり、取引先への支払いや、従業員への給与の支払い、借入金の返済などができない、あるいはできなくなることが見込まれる状態のことを指します。

3. 会社の解散日が決まったらするべき手続きとは

① 取引先へ廃業することを通知

解散日が決まったら、取引先に対して廃業することを書面によって通知しましょう。

取引先に対する配慮の必要もあるため、廃業の1か月以上前には通知をしたほうが良いでしょう。なお、継続的な納品先等である取引会社がある場合、商品の継続供給義務があるとして、急な廃業に対して損害賠償が要求されるようなトラブルとなる可能性があります。そのため、そのような取引先がある場合、なるべく早めに通知する等して対策が必要です。

廃業の通知に際しては、「諸般の事情」と記載すれば足り、詳細な廃業の理由を記載する必要はないでしょう。

② 在庫商品は売却か廃棄処分する必要がある

会社の在庫商品は、資産の整理のため売却によって現金化するか、処分する必要があります。
在庫の売却は清算事務の一環として行うことが許される一方で、新たな商品を仕入れることは清算事務の範囲外として許されません。
帳簿価額以上の売却には税金がかかるので注意が必要です。

③ 会社名義の不動産は売却して名義変更を行う

廃業して法人格が消滅することが予定されている会社が保有している土地・建物に関しても、売却や贈与によって所有権を移し、名義変更の登記を行う必要があります。

④ 物件を借りている場合は賃貸契約を解除する必要がある

事業に用いる機材や備品、工場や土地など、他人から借りている動産・不動産については貸借契約を解消するとともに、原状回復を行い、保証金や敷金について清算を行う必要があります。

その他、解消しなければならない契約としては、以下のようなものが考えられます。

  • ① クレジットカード契約
    クレジットカードを社用で作っている場合には、退会申込書の郵送あるいは電話によって解約することが必要となります。
  • ② リース契約
    携帯電話や車両など、リース契約をしている場合には、これを解約する必要があります。
    リース契約は賃貸借に比して長期になっていること多く、契約期間中の解約には違約金が発生することもあるため、期間を確認して、必要に応じて違約金を準備することが求められます。
  • ③ 公共料金
    電気やガス、水道などの公共料金の支払いを会社名義で契約している場合、法人向けのプランで契約していることが多いと考えられます。
    そして、会社が解散した場合でも、清算手続き中は法人格が存続するため、電機や水道などを利用することになります。
    契約当事者である供給会社に対して、事前に連絡をして、必要が無くなった際に速やかに解約できるように準備しましょう。
  • ④ 銀行口座
    会社が解散した場合であっても、引き続き清算事務の範囲でお金の管理を行う必要があり、解散後すぐに解約する必要はありません。
    清算結了の際には会社名義の銀行口座を解約している必要があるため、清算事務終了のタイミングで口座を解約する必要があります。
  • ⑤ 保険関係
    火災保険や生命保険などを会社名義で契約している場合には、これらを解約する必要があります。
    そのため、自社の保険関係を調査した上、解約するようにしましょう。
  • ⑥ インターネットや電話などの通信関係
    インターネット回線や電話回線などを契約している場合には、これらの契約も解除する必要があります。インターネット回線のモデムなど契約によっては機器類の返却が必要なこともあるため、注意してください。

許認可関係の廃業届や加入団体の退会手続きをする

会社が保有する許認可については、管轄官庁に対して廃業届を提出し、必要に応じて許可証や登録証を返納する必要があります。事業の性質により複数の許認可が関係することがあるため、事前にしっかりと確認することが重要です。また、業界団体や商工会議所などの加入団体に対しても、所定の退会手続きを行い、会費の精算などを適切に処理する必要があります。

4. 会社を廃業する場合の従業員への対応とは?

① 解雇通知を行う

廃業する場合には、会社は法人格を失うため、当然従業員を解雇する必要があります。
一方、会社と従業員の間には労働契約が締結されており、従業員は労働法の保護が強く及びます。そのため、使用者は労働者を自由に解雇することができず、解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が求められます。
これを欠く解雇は、解雇権の濫用として無効となります。

会社の経営不振や資金繰りの悪化、後継者不足による廃業など、会社の事情によってする従業員の解雇を特に整理解雇といい、

  • ① 人員削減の必要性
  • ② 解雇回避の努力
  • ③ 人選の合理性
  • ④ 解雇手続の妥当性

4要件の下で適法性が判断されることとなります。

それぞれ、

  • ① 人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること、
  • ② 配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと、
  • ③ 整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること、
  • ④ 労働組合または労働者に対して、解雇の必要性やその時期、規模・方法について適切な説明を行うこと

をいいます。

廃業の場合には基本的には適法と判断されますが、後述するような廃業についての説明を行うことが求められるほか、解雇の30日以上前の解雇通知または解雇予告手当金の支払いが必要です。
なお、解雇通知の方法としては、のちに解雇を行ったかどうかトラブルが生じないように、書面で行うことをお勧めします。

② 廃業について説明会等を行う

上述のように、廃業に際する解雇は整理解雇となり、従業員の解雇の前に適切な説明を行うことが求められます。

個別に従業員に解雇通知書を示すことで、解雇予告を行うタイミングが従業員ごとにずれると労務管理が複雑化するため、一括して、解雇予告を行うことをお勧めします。
また、従業員を全員集めて説明会を行うことで、何度も説明を行う必要もなく、従業員からの質問等にも、全体に対して回答することが可能となります。

従業員が納得できるような説明を行うことで、トラブルの発生を防ぐことが期待できます。

③ 役員・従業員の退職金を用意する

退職金の支払いは当然に発生する義務ではないものの、就業規則に記載があるなどして労働契約の内容となっている場合は、会社が廃業しようとしている場合であっても、退職金の支払いをしなければなりません。

従業員としては、新しく就職活動を始めなければならず、その間給料を受け取れないことから、生活に不安を感じる方が多いかと思います。
そのため、従業員への配慮という意味でも、退職金を適切に支払い、義務を果たすことが重要となります。

5. 会社の廃業は手順を誤るとトラブルに発展する可能性がある

従業員の解雇や取引先への廃業通知など、第三者への影響へ配慮した手続きについては、早めに行うことが求められます。
特に、従業員の解雇通知に関しては法律上の期間要件があるため、これを遵守することは必須となっています。

また、株主総会の決議、解散手続き、清算手続きは、スケジュールを管理して行うもので、契約の解約や商品の処分、名義変更なども、そのスケジュールに合わせて手順通りに行わなければトラブルに発展する可能性があります。
そのため、スケジュールを適切に管理して、迅速・適切に手続きを進めるようにしましょう。

6. 会社の廃業を検討している方は神楽坂総合法律事務所にご相談ください

経営状況の悪化・資金繰りの悪化によって廃業を検討する際には、まずは、再生することができないのか検討することも重要です。
そのうえで、廃業せざるを得ないと判断した場合には、冷静に着実に手続きを進めていくことが、ステークホルダーのためにも重要となります。

もっとも、廃業の経験がある方は少なく、不明点も数多くあるでしょう。
また、そもそも廃業するべきかの判断も難しい検討が必要となります。
さらに、実際に廃業するとなると、煩雑な作業や従業員等の矢面に立つ必要がある等、肉体的にも精神的にも苦労する場面もあるかと思います。
そのため、廃業に詳しい弁護士に相談・依頼することで、冷静に第三者目線から検討をして、今後どのようにしていけばよいのか法的観点から助言を受けたり、実際に廃業の作業をサポートしてもらうことも有用です。

神楽坂総合法律事務所は、リーガルサービスの質の良さと迅速さにこだわります。司法書士や行政書士をはじめ、社会保険労務士、土地家屋調査士、不動産仲介会社との連携により、ご依頼者様の抱えるさまざまな不安や問題の解消を目指します。

現に、過去の廃業のご依頼者様に対しては、解散や清算の登記、残余財産の分配といった手続き的な側面だけではなく、継続供給先への契約終了に向けた交渉、従業員への説明、各種契約終了作業のサポート、会社財産の処分等、実際の清算作業のサポートもさせていただいております。
会社の廃業を検討されている方は、一度、当事務所へご相談ください。

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