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借地権や底地の相続税上の評価

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借地権や底地の相続税上の評価

【読んでいただきたい方】
  • ・借地を相続する可能性がある方
  • ・被相続人が地主の方

土地を相続した場合にはその土地について相続税が課されます。これと同様に、借地権や、底地を相続した場合にも、これらに相続税が課されます。

では、ここでの相続税はどのように算出するのでしょう。このページでは、相続税の算出の基礎となる土地、借地権、底地の評価額の計算方法についてご紹介します。

【目次】

1.借地権と底地の意味
① 借地権
② 底地
2.借地権や底地の相続税上の評価方法
① 土地の評価額
② 借地権の評価額
② 底地の評価額
3.相続税申告以外の場面での不動産評価
4.借地権や底地の相談についてお困りの方は当事務所へご相談ください

借地権と底地の意味

人が亡くなった場合、相続が生じます。相続が生じると、被相続人が死亡した時点で有していた一切の権利義務が相続人に包括的に承継されます(民法882条、896条)

そのため、被相続人が死亡時に所有していた土地はもちろんのこと、借地権や、底地も同様に相続の対象となります。

では、借地権、底地とは何を意味するのでしょうか。

①借地権

借地権とは、通常土地の所有者との間で締結される土地賃貸借契約によって賃借人が有するに至る権利で、その土地を善管注意義務等に違反しない範囲で自由に使うことができる権利をいいます。

通常、所有者以外が土地を利用するためには、その利用を正当化する権利が必要となります。借地権は、この利用を正当化する権利の代表例です。

②底地

底地とは、借地権の設定された土地をいいます。借地権は、土地の所有権を有していないものに発生する権利であって、土地の独占的な利用を認めます。逆に、借地権が設定された土地は、所有者が基本的に利用できず、その分、借地権の負担のない所有地と比べて価値は下がります。

借地権や底地の相続税上の評価方法

①土地の評価額

相続によって被相続人の財産が承継された場合、一定額以上の財産の相続には、相続税が課されます。

相続税は遺産の総額を基礎に算出することとなります。
(計算方法の詳しい説明はここでは省略します)

この際、例えば、現金や預金のように額面が明確なものは、その金額を加算すればいいので簡単です。
これに対して、株や土地といったそれ自体に額面がないものについては、その相続税上の「評価額」が問題となります。

土地の場合、相続税上の「評価額」は、通常、以下の方式により算出します。

  • 路線価方式

    国税庁のホームページから確認することができる路線価図に記載されている価額から算出する方式です。路線価図に記載されている数字は1㎡当たりの価額(単位:1,000円)を表しています。
    そのため、対象の土地の路線価は(千円単位)×土地1㎡単位で算出します 。なお、この路線価に土地面積を乗じたものを、自用地評価額といいます。
    【具体例】
    当事務所の所在地は東京都新宿区神楽坂4丁目1番1号にあるオザワビルの6階となっています。このオザワビルの正面の路線価 は2,540千円/㎡(令和6年の時点)であるため、仮に100㎡あるとすると、評価額は2億5400万円(=2,540,000円×100㎡)ということになります。

    路線価図


  • 倍率方式

    毎年市町村から送付される固定資産税納付税通知書に同封されている、固定資産税課税明細書に記載の、固定資産税評価額×国税庁の公表している評価倍率で算出する方式です。

    評価倍率表

    引用元:国税庁:財産評価基準書路線価図・評価倍率表のサイトより

②借地権の評価額

一方、借地権や、底地の評価額の計算は、土地の評価額と異なる点があります。

そこで、以下、①借地権の評価額・②底地の評価額の算定方法についてご紹介します。

借地権といっても複数の種類があり、それらによって評価額の算定方法が異なります。

借地権は評価額の算定上、大きく以下の3つに分けることができます。
ⅰ普通借地権
ⅱ定期借地権等(一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権)
ⅲ一時使用目的の借地権

ⅰ普通借地権

普通借地権の評価額は以下の計算方法によって算出されます。

自用地評価額×借地権割合=評価額

自用地とは、自由に利用可能な、利用に制限のない土地をいいます。
自用地評価額は、前述の路線価方式・倍率方式によって計算された土地の評価額を意味します。

※路線価方式と倍率方式のどちらで計算してもよいわけではありません。路線価がある土地は、路線価方式によって計算しなければいけません。

そして、借地権割合は地域ごとに定められているため、路線価図や評価倍率表に記載されています(なお、アルファベットで記載されており、表と対照して計算します)。

路線価方式を採用する場合の、評価額の具体的な計算方法は以下の通りです。

【具体例】
前述のとおり、当事務所が入っているオザワビルの正面の路線価 は「2540B」と記載されており、土地の路線価上の㎡単価は、2,540,000㎡(令和6年の時点)となります。仮に100㎡あるとすると、自用地評価額は2億5400万円(=2,540,000円×100㎡)ということになり、その借地権割合は、B(80%を意味します。なお、Aは、90%、Cは、70%を意味します)となっていますので、実際に計算してみると、 自用地評価額×借地権割合
2,540,000円×100㎡×0.8
=2億0320万円

2億0320万円が、対象の土地の普通借地権の相続税上の評価額となります。

ⅱ定期借地権等

定期借地権の評価額は以下の計算方法によって算出されます。

自用地評価額
   ×
(1 ― 一般定期借地権が設定された当時の底地割合)
   ×
(課税時期の一般定期借地権の残存期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率
÷ 一般定期借地権の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率)

= 一般定期借地権の評価額

上記の通りですが、見てわかる通り計算方法が極めて複雑になっています。相続開始時点での借地権者に帰属する利益、借地権の存続期間をもとに算出されるのですが、専門知識を必要とすることは言うまでもありません。

この点、定期借地権を設定した時期と、課税の時期で借地権者に帰属する経済的利益に変更がないような場合には、次の計算方法で算出することも可能です。

自用地評価額
   ×
( 定期借地権等の設定時の借地権者に帰属する経済的利益の総額
÷定期借地権等の設定時の宅地の通常取引価額 )
   ×
( 課税時期の定期借地権等の残存年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率
÷定期借地権等の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率 )

= 一般定期借地権の評価額

上記の通りですが、見てわかる通り計算方法が極めて複雑になっています。相続開始時点での借地権者に帰属する利益、借地権の存続期間をもとに算出されるのですが、専門知識を必要とすることは言うまでもありません。

この点、定期借地権を設定した時期と、課税の時期で借地権者に帰属する経済的利益に変更がないような場合には、次の計算方法で算出することも可能です。

自用地評価額
   ×
( 定期借地権等の設定時の借地権者に帰属する経済的利益の総額
÷定期借地権等の設定時の宅地の通常取引価額 )
   ×
( 課税時期の定期借地権等の残存年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率
÷定期借地権等の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率 )

= 一般定期借地権の評価額

ⅲ一時使用目的の借地権

一時使用目的の借地権の評価方法は、雑種地の賃借権の評価方法と同様となります。

雑種地とは、田、畑、宅地、山林、原野など法務省令で特定された22種類の用途のいずれにも該当しない土地をいいます。

雑種地の賃借権の評価方法は、賃借権の種類に応じて、以下の❶❷に分けられます。

❶【地上権に準ずる権利と評価することができる賃借権】

雑種地の『自用地評価額×借地権割合』と『法定地上権割合』とのいずれか低い割合

借地権割合は上述の通りです。

法定地上権割合は相続税法23条に定められています。賃借権の残存期間に応じて5%~90%の間で変動します。

ここでも当事務所の所在地を例に挙げて計算してみます。
当事務所のあるビル の路線価方式による評価額は2億5400万円でした。便宜的に賃借権の残存期間が13年であると仮定すると、相続税法23条の法定地上権割合は10%となります。そのため一時使用目的の借地権の評価額は2540万円ということになります。

❷【上記以外の場合】

雑種地の自用地評価額×法定地上権割合×1/2

②底地の評価額

底地の相続税評価額は以下の方法によって算出されます。

底地評価額
=自用地評価額 ×(1 - 借地権割合)
=土地の面積×路線価図-借地権の評価額

普通借地権の評価額の算定方法が、自用地評価額×借地権割合であったことと、底地と借地権の関係に着目すると、要は、自用地評価額から借地権価格を引いた残りが底地の評価額となります。

前述の当事務所が所在す土地の例を用いて底地の評価額を計算すると以下のようになります。

2,540,000円×100㎡×(1―0.8)
=5080万円
となります 。

相続税申告以外の場面での不動産評価

これまで見てきた不動産の評価額は、相続税申告の際などに用いられる相続税評価額となります。

しかし、遺産分割や遺留分侵害額請求といった場面では、これまでとは異なり、原則として実勢価格というものを利用します。
実勢価格は時価とも呼ばれ、実際に不動産取引が行われる金額となります。

路線価は、基準となる道路に面した土地を一律に価格設定しているうえ、そもそも税金を算出することを目的としているため、実際の土地の状況などが反映されていません。

一方、実勢価格は、その時点での土地の状況や人気などを反映して実際に取引される金額となり、路線価と実勢価格では価格に差が生じてしまいます。そのため、一般に、実勢価格が路線価よりも高い金額となっていることが多く、相場としては、実勢価格は路線価の1.3倍~1.5倍となることが多いです(ただし、都心部等では、実勢価格と路線価の乖離が大きく、実勢価格が路線価に対して、1.5倍以上ということもありえますし、場所や土地の現況によっては、実勢価格の方が路線価よりも安いということもあります)。

実勢価格や時価は、算定を行う不動産鑑定士や不動産会社によっても異なるため、複数の不動産鑑定士による鑑定結果や不動産会社の査定を集め、その中間値を実勢価格として使用することもあります。そのため、遺産分割や遺留分侵害額請求を行う場合には、路線価を調べるだけでなく、別途不動産の査定や鑑定が必要となります。

借地権や底地の相談についてお困りの方は当事務所へご相談ください

以上のように借地権と底地の評価額は相続税の計算の際に必要となり、また、正確に計算する必要があります。
また、普通賃借権以外の賃借権を相続したような場合には、上記のように極めて複雑な計算が必要とされます。

借地権、底地の相続についてお困りの方は一度、当事務所までご相談ください。

さらに、このような相続税上の不動産の評価と遺産分割等で問題となる不動産の評価にはズレが生じる可能性があります。そのため、正確な相続税評価を確認したり、遺産分割で不動産価格を主張したりするためには、専門家に確認する必要があります。

なお、当事務所が以前扱った案件で、不動産価格が問題となった際、相手方弁護士さんは、高い金額を提示すべき立場にあったにもかかわらず、なぜか平米単価である路線価に坪数をかけるという明らかな計算方法のミスをし、結果、異常に安い金額を提示するということがありました。

不動産案件に慣れた弁護士であれば、このようなミスはなかったと思いますので、皆様も弁護士選びの際には、ご注意ください。

神楽坂総合法律事務所は、リーガルサービスの質の良さと迅速さにこだわります。
司法書士や行政書士をはじめ、社会保険労務士、土地家屋調査士、不動産仲介会社、遺言執行専門の法人との連携により、ご依頼者様の抱えるさまざまな不安や問題の解消を目指します。

賃借権、底地の相続に関してお困りの際は、当事務所までご相談ください。

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