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不要な不動産を放棄することはできない?

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不要な不動産を放棄することはできない?

【読んでいただきたい方】
  • ・遺産に不要な不動産がある方
  • ・相続した不動産が遠方にあり、管理が難しい方

相続などをきっかけに土地や建物などの不動産を取得することがありますが、取得した不動産が必ずしも自分の生活に必要なものとは限りません。むしろ近年は、不動産を相続して管理し続けるのが難しく、空き家・空き地として放置するケースが増加しています。このような用途がない、または不要な不動産を取得している場合はどうすればよいのでしょうか。

ここでは、不要な不動産を放置した場合の問題点や、不要な不動産を放棄する方法などについて解説します。

【目次】

1. 不要な不動産を放置する問題点とは
① 特定空き家等に指定された場合、固定資産税が高くなる
② 不動産の管理不足で責任を負う可能性がある
2. 不要な不動産を放棄することはできるのか?
3. 【遺産を受け取る前】相続放棄を利用する
① 相続放棄は不要な財産だけの放棄はできない
② 不動産の注意義務が残る可能性がある
4. 【遺産受け取り後】不要な土地を処分する方法は?
① 売却する
② 寄付する
③ 活用する
④ 国庫帰属させる

1. 不要な不動産を放置する問題点とは

不要な土地や建物などを放置することで、以下のような問題が生じます。

① 特定空き家等に指定された場合、固定資産税が高くなる

所有している住居などの建物が、「空き家対策特別措置法」(空き家等対策の推進に関する特別措置法)上の「特定空家等」(同法2条2項)に指定された場合、住宅などの固定資産税が高くなるおそれがあります。

近年、管理の行き届かない空き家が増加していることを受け、平成27年に「空き家対策特別措置法」が施行されました。
この法律では、「特定」「空家等」を問題にしています。

「空家等」
居住その他の使用がなされていないことが常態化している建築物など(同法2条1項)。
「特定空家等」
「空家等」のうち以下のような状態にあるもの(同条2項)
  • ・ そのまま放置すれば倒壊などの著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • ・ 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • ・ 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

この「特定空家等」に指定された場合、その所有者等に対して、以下のようなデメリットがあります。

  • 市町村長は取り壊しや修繕などの必要な措置を取るよう助言・指導が可能
  • 市町村長は助言・指導に従わないときは取壊し等の勧告が可能
  • 勧告を行い、周辺の生活環境を保全するための必要な措置を要求した場合には、「固定資産税の住宅用地特例」の対象から除外される
  • 市区町村長は、勧告に従わないときは、事前通告の後、必要な措置を取るよう命令が可能。 この命令に違反する場合は50万円以下の過料の対象。
  • 「特定空家等」は、代執行(行政代執行)の手続きによって強制的に取り壊される可能性あり。代執行の費用は、「特定空家等」の所有者が最終的に負担。
    (国土交通省|空家等対策特別措置法について 資料4(令和3年2月4日)11頁参照)。

ちなみに、「固定資産税の住宅用地特例」とは、人が居住するための家屋(住宅やアパートなど)の敷地として利用される土地(住宅用地)について、固定資産税等の税金が軽減される特例措置です。

具体的には、住宅用地の固定資産税額は、

  • 200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は6分の1
  • 200㎡を超える部分(一般住宅用地)は3分の1

に軽減されます。
この特例措置により、住宅が建っている土地の固定資産税は、住宅のない土地のみの場合と比べてかなり低くなります。しかし、「特定空家等」と認定されて勧告を受けると、この特例措置が解除され、固定資産税額が跳ね上がります。

もちろん、放置された住宅があっても直ちに市区町村長から勧告がなされるわけではありません。「特定空家等」に指定されると、除却や修繕、立木竹の伐採などの措置を取るよう助言・指導をされ、それに従わないときに勧告がなされるため、勧告がなされるまでにある程度の猶予期限があります。

猶予期限の具体的な期間は、対象となる「特定空家等」の規模や措置の内容などによって異なりますが、物件を整理するための期間や工事の施工に要する期間を合計したものをベースに判断されます(国土交通省|「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)10頁)。

「空家等」や「特定空家等」に指定されないためにも、所有する不動産を定期的に清掃や修繕を施すなどして、管理を怠らないようにする必要があるでしょう。

② 不動産の管理不足で責任を負う可能性がある

また、管理責任のある不動産の管理を怠ったことが原因で、法的トラブルに発展する可能性があります。

管理の行き届いていない空き家には、次のような問題を引き起こすと考えられています。

  • ・ 景観の悪化
  • ・ 建物倒壊の被害
  • ・ 避難経路の阻害
  • ・ 害虫や害獣の発生
  • ・ 犯罪の誘発
  • ・ 出火・放火のリスク
  • ・ 人口減少による行政サービスの低下

特に、老朽化で崩れ落ちた外壁・柱や管理不足によるがけや擁壁の崩壊などによって通行人や隣地の住民が怪我をしてしまった場合、下手をすると数千万~1億円などの高額な損害賠償責任(民法717条の工作物責任など)に問われる危険性があります。

2. 不要な不動産を放棄することはできるのか?

では、不要な不動産を手放すことはできるのでしょうか。結論から申し上げますと、手放すことは可能ですが、すでに遺産を相続しているかどうかで対応は異なります。
【遺産を受け取る(相続する)前】【遺産受け取り後】のケース別に、対応の仕方を見ていきましょう。

3. 【遺産を受け取る前】相続放棄を利用する

遺産を受け取る前であれば、相続放棄を活用する方法があります。

遺産を受け取る前、具体的には「自己のために相続の開始(被相続人(故人のこと)の死亡)があったことを知ったときから3か月以内」(この期間を「熟慮期間」という)であれば、相続放棄をすることができます。相続放棄とは、被相続人の権利や義務を一切、受け継がないという意思表示のことです。相続放棄は家庭裁判所で申述しなければなりませんが(裁判所ホームページ|相続の放棄の申述)、申述が受理されれば、相続放棄の効果が生じ、不要な不動産を相続しなくてよくなります。

ただし、相続放棄を行う際は、以下の点に注意する必要があります。

  • ・相続放棄は不要な財産だけの放棄はできない
  • ・土地の注意義務が残る可能性がある

① 相続放棄は不要な財産だけの放棄はできない

相続放棄は、前述の通り、被相続人の権利や義務の全部を受け継がないという意思表示です。逆に言えば、「相続する財産」と「放棄する財産」を選ぶことはできません

相続放棄を行うと、不要な不動産以外の財産(被相続人の持ち家や、土地、株式、自動車などの財産)も一緒に放棄しなければなりません。相続放棄を行うと、放棄した者は最初から相続人でなかったとみなされるため(民法939条)、遺産に対して何の権利も有さなくなります。

遺産に欲しい財産がある場合や、被相続人の資産をもとに今後の生活を送る予定がある場合は、相続放棄は難しいということになります。

② 不動産の注意義務が残る可能性がある

また相続放棄をした場合でも、放棄した不動産を管理し続けなければならない場合があります。

これは、民法には次のような規定があるためです。

現行民法940条1項(改正法施行前)
「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」

この規定によると、相続放棄をしたとしても、管理の引き継ぎ手が現れない限り、放棄した不動産の管理は、放棄した相続人が継続しなければなりません

相続放棄を行えば初めから相続人にならなかったものとみなされますが(民法939条)、他の相続人等が相続財産の管理を始めるまで相続財産の滅失や棄損を防ぐため、このような規定が定められています。

「相続放棄をしたので、不動産について何ら責任は負わない」と考えて不動産の管理を怠り、管理が不適切だったために相続人に損害を及ぼしてしまうと、相続人に対して損害賠償責任を負うことになります

相続放棄をした場合には、他の相続人または次順位の相続人に放棄した旨を伝えましょう。

なお、上記の相続財産に対する注意義務は相続人に対して負うものです。管理が不十分で第三者に被害が及んだとしても、相続放棄者が損害賠償責任を負うわけではないので注意しましょう(国土交通省住宅局住宅総合整備課及び総務省地域創造グループ地域振興室 平成27年12月25日付け事務連絡参照)。

相続人全員が相続放棄手続きを終えたら、家庭裁判所に「相続財産管理人選任の申立て」を行い、財産の管理と処分を依頼しましょう。

相続財産管理人選任の申立ては義務ではありませんが、相続財産管理人を選任しなければ、上記の不動産の管理を継続していかなければなりません。

申立てを行う場合、事前に数十万円~100万円程度の予納金を支払う必要があるため、注意しましょう(予納金は、相続財産管理人の業務が終了した際に余っている場合は返還される)。

相続財産管理人は被相続人の債権者などに対して、被相続人の借金の返済などをして清算を行い、清算後に残った財産を国庫に帰属させます。

なお、上記民法940条1項は、2021年(令和3年)に次のように改正されました(改正法の公布日は2021年(令和3年)4月28日、施行日は2023年(令和5年)4月1日)。

改正民法940条1項(施行日:2023年(令和5年)4月1日))
「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」

この改正によって、相続放棄後の管理義務(保存義務)の対象となる財産の範囲や、財産を引き渡すまでの管理期間の終期などが明確になりました。

4. 【遺産受け取り後】不要な土地を処分する方法は?

熟慮期間の経過など、相続放棄することができなくなった後で、不要な不動産を処分するには、どうすればよいのでしょうか。次の4つの方法が考えられます。

  • 1、 売却する
  • 2、 寄付する
  • 3、 活用する
  • 4、 国庫帰属させる

① 売却する

1つ目の処分方法は「不動産を売却する」です。建物をそのままにして建物および土地を売却したり、建物を取り壊して更地※にしてから売却したりする方法が考えられます。

売却することで、以下のようなメリットがあります。

  • ・ 売買代金が得られる
  • ・ 不動産の維持・管理の責任が免れる
  • ・ 固定資産税などの税金の負担がなくなる
  • ・ 建物を取り壊さずに売却する場合は、取壊費用が不要となる

売却は相続人にとって、リスクの低い処分方法といえるでしょう。特に最近は、新型コロナウイルスの影響で山林売買情報サイトが注目を集めており、また自治体が運営する空き家・空き地バンク」の利用が促進されています。以前よりも不動産を売却できる機会は増えたといえるでしょう。

ただし、適切な買い手を見つけることは容易ではなく、通常は不動産会社に仲介を依頼して売却に必要な諸手続きを任せることになります。仲介料等の諸経費がかかるほか、よい条件で売却できる保証はありません。

また、売却する空き家は家屋のコンディションがよいことが前提となるため、あまりに老朽化が進んでいる場合は、取り壊して更地にするなどの手段も検討が必要になるでしょう。最近では建物の取り壊し費用は売主が負担して、更地を引き取ってもらうというケースもあります。

当事務所では、人脈や法的な知識を利用して、売却が困難な物件の売却も可能な限りサポートいたします。現に、農地、古家付き土地、再建築不可物件など、過去、売却に至った物件は多数ございますので、まずはご相談ください。

なお、土地や建物を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、所得税や住民税などが課されますが、特別控除を受けられる場合があります(国税庁|土地や建物を売った時譲渡所得の特別控除の種類)。

② 寄付する

国・自治体や、個人、法人に不動産を寄付・寄贈をするという方法も一案です。
国や自治体、公益法人であれば贈与税がかからないというメリットもあります。

しかし、自治体や法人等にとっても不要な土地であれば、寄付であっても受け付けてもらえない可能性が高いといえます。

自治体ごとに寄付の条件が設けられていることがありますが、この条件を満たしているからといって当然に寄付が認められるわけでもありません。使い道のない土地について、基本的には行政などが寄付を受け付けることは、まずないと考えるべきでしょう。

また、固定資産税の税収が減ることからも行政が積極的に寄付を受け付けることは少ないです。現に、当事務所の依頼者でも寄付がうまくいったという方はまれです。

ただ、道路拡張や公園などに活用出来たりする場合もあるため、まずは担当窓口に相談してみるというのもよいかもしれません。

なお、個人等に土地を寄付する際は、土地を受け取る側に贈与税がかかるため、その点も踏まえて土地を引き受けるかどうかの話し合いを行いましょう。

③ 活用する

寄付や売却が難しければ、不動産を活用する方法も検討してみましょう。

例えば、空き家であれば、以下のようにさまざまな選択肢が考えられます。

  • ・ 第三者に賃貸する
  • ・ 家族や親戚間で別荘として利用する
  • ・ 空き家をリノベーションしたカフェや地域密着のデイケアサービスなどの商業施設として利用する
  • ・ 民泊施設に転用する     など

また空き地(更地)であれば、以下の活用方法が考えられます。

  • ・ 第三者に賃貸する
  • ・ 建物を建ててアパート・マンション経営を行う
  • ・ 駐車場経営、トランクルーム経営
  • ・ 太陽光発電経営       など

ただし、建物の賃貸などはリフォーム費用や建設費用などの大きな初期投資が必要になり、かえって費用がかさむ可能性があります。不動産を活用する際は、採算がとれるか十分に検討をしてから行いましょう。まずは駐車場経営など比較的初期投資が小さく、失敗するリスクの少ないものから始めるのもよいでしょう。

なお、不動産を売却する場合も同様ですが、不動産の活用について詐欺トラブルに遭わないよう注意が必要です。例えば、売買では、「売買のためには管理が必要」と述べて実際にはかかっていない費用を請求する悪徳業者や、太陽光発電などの開発費用だけ受領して実際に施行せずにいなくなるような業者もいます。不動産の売買や活用は、信頼できる業者かしっかり調査したうえで行いましょう。

④ 国庫帰属させる

最近、「相続土地国庫帰属法」(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律)が成立しました(施行日は2023年(令和5年)4月27日)。

これにより、相続または遺贈によって土地の所有権を取得した相続人は、要件審査を経て法務大臣の承認を受けると、その土地の所有権を手放して、国庫に帰属させることができます。相続放棄で生じるリスクを回避しながら、不要な土地を放棄できる点で大きなメリットがあるといえます。

ただし、この制度を利用するには以下のような却下要件(同法2条3項)や不承認要件(同法5条1項)を満たさないようにする必要があります。そのため、相続人が希望すれば必ず国庫帰属できるというわけではありません

却下要件(相続土地国庫帰属法2条3項)

  1. ① 建物が存する土地
  2. ② 担保権または使用・収益を目的とする権利が設定されている土地
  3. ③ 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
  4. ④ 土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地
  5. ⑤ 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属または範囲について争いがある土地

不承認要件(同法5条1項)

  1. (勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち、その通常の管理にあたり可分の費用または労力を要するもの
  2. ② 土地の通常の管理または処分を阻害する工作物、車両または樹木その他の有体物が地上に存する土地
  3. ③ 除去しなければ土地の通常の管理または処分をすることができない有体物が地下に存する土地
  4. ④ 隣接する土地の所有権者等との争訟によらなければ通常の管理または処分をすることができない土地として政令で定めるもの
  5. ⑤ 上記のほか、通常の管理または処分をするにあたり過分の費用または労力を要する土地として政令で定めるもの

また、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額の負担金(詳細は政令で規定)を納付しなければならないことに注意が必要です(同法10条1項)。

国庫帰属までの流れ

  1. ① 承認申請
  2. ② 法務大臣(法務局)による要件審査・承認
  3. ③ 申請者が負担金を納付
  4. ④ 国庫帰属

制度を利用する際は、弁護士等の法律専門家に相談しましょう。

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